VW、ブラジルで90億レアルの追加投資発表、EV、HV含む16車種投入

(ブラジル、ドイツ)

サンパウロ発

2024年02月21日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は2月2日、ブラジルで2026年から2028年まで90億レアル(約2,700億円、1レアル=約30円)の脱炭素化に向けた追加投資を行うと発表した。同社は2022年から2026年にかけて中南米域内で70億レアルの投資を発表していた。

VWはまた、2028年までに電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などを含め、16の新車種を導入する計画も発表した。VWのサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場で行った発表には、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領も同席し、今回のVWの投資に加え、将来へ向けて自動車業界全体で総額410億レアルの投資が計画されていると発言した(注1)。

VWは今後、ブラジル国内に所有している4工場で新規製造を開始する。パラナ州サン・ジョゼ・ドス・ピニャイス工場では新型ピックアップトラックを生産する。サンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場では2種類の新型車を生産予定、同州タウバテ工場では100%ブラジルで開発された新型車を生産する。HV向け高性能新型エンジンについては、同州サン・カルロス工場で生産する。

VWはフレックス燃料車(注2)の製造拡大や、HVにフレックス内燃機関の使用予定についても言及している。VWブラジル法人のシロ・ポソボン最高経営責任者(CEO)は2月2日付現地紙「エスタード」のインタビューで「電気自動車が脱炭素化への唯一の解決策ではない」と指摘しつつ、フレックス技術による脱炭素化への貢献を強調した。加えて、ブラジル産ハイブリッド車が中南米各国に輸出される可能性について、「中南米の消費者の行動は似ており、ブラジルで採用されたソリューションはコロンビアやエクアドル、アルゼンチンでも活用することができる」と述べた。

自動車分野については、2023年からトヨタ、日産、BYD(中国)、GM(米国)、ルノー(フランス)などのメーカー各社が脱炭素などに資する新たな技術の導入を含む大型投資計画を相次いで発表している。2023年末には連邦政府が新自動車産業政策(MOVER)を発表し、国内自動車産業の脱炭素化や競争力強化などに取り組む姿勢も示しており、ブラジルの自動車分野のさらなる発展が期待される。

(注1)大統領府公式サイトでは、今回の投資発表のほか、ゼネラルモーターズ(70億レアル、2024年2月20日記事参照)、BYD(30億レアル、2023年7月6日記事参照)、長城汽車(100億レアル、2022年3月28日記事参照)、ルノー(51億レアル、2023年12月8日記事参照)、CAOA(45億レアル)、日産(28億レアル、2023年11月13日記事参照)による投資案件も挙げられ、今回のVWの90億レアルも含めて合計414億レアルとなる。ただし、ルノーとCAOAの場合、2021年からの投資額もその計算に含まれる。

(注2)ガソリンとバイオエタノールを混合・燃焼して走行する車。ブラジルではサトウキビ由来のバイオエタノール燃料が普及している。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、ドイツ)

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