日産が28億レアルの追加投資、新型「Kicks」と未発表モデルの2種類を生産

(ブラジル)

調査部米州課

2023年11月13日

日産自動車の内田誠最高経営責任者(CEO)は11月7日、同社のブラジル・リオデジャネイロ州レセンデ工場で開催された投資発表式典において、2025年までに28億レアル(約868億円、1レアル=約31円)を投資する計画を発表した。同投資により、新たに2種類のスポーツ用多目的車(SUV)と、最新のターボエンジンを生産する体制を整備する。

生産が予定されているSUVは、既にレセンデ工場で生産されている「Kicks」の新世代車と、未発表モデルの2種類。新型の「Kicks」は2025年に販売を開始し、ブラジルでの販売のみならず、中南米の20カ国以上で販売される予定だ。未発表モデルのSUVは詳細が公開されていないが、2026年までにブラジルを含めた中南米地域向けに販売される予定だ。ターボエンジンについても詳細は未公開だが、現地報道によるとレセンデ工場で生産される新型「Kicks」、もしくは未発表モデルのSUVに搭載される可能性が報じられている(「UOL」紙11月7日)。同投資により、同社のブラジルへの投資は10年間で62億レアルに達した。

内田CEOは式典において、「Nissan Ambition 2030(注)に沿って、ブラジルと南米における新たな段階に向けて準備を進めている」と強調した。具体的な目標として、ブラジル市場における販売シェアを2026年までに現在の約3%から7%に伸ばすとしている。また、11月8日付のリオデジャネイロ州政府の発表によると、日産は同工場での新型車生産に向け、ブラジルの鉄鋼メーカーのウジミナス(Usiminas)、日系自動車部品メーカーのジェイテクト(JTEKT)、フランスの自動車部品メーカーのヴァレオ(Valeo)、スペインの自動車部品メーカーのフィコサ(Ficosa)など4社のサプライヤーを新たに誘致している。

また、内田CEOは11月6日、ブラジル大統領府においてルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領とジェラルド・アルキミン副大統領兼開発商工サービス相に面会した。内田CEOは「ブラジルは当社の世界的な成長にとって戦略的地域の1つ」と述べ、ブラジル市場におけるシェアを倍増させると意気込んだ。ルーラ大統領は「ブラジルは投資収益の可能性が高まる市場であり、ブラジルへの投資を望むすべての人に法的、政治的、社会的安定を提供している」とし、ブラジルの投資環境をアピールした。

(注)日産自動車が2021年11月に発表した同社の長期ビジョン。

(小西健友)

(ブラジル)

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