メキシコ人オーナーの非日系企業が初めて日本産精米を販売開始

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2024年02月05日

メキシコ人がオーナーの非日系企業ハンセアティック(Hanseatik)が20241月、日本人オーナー企業以外では初めて、メキシコで日本産精米の一般販売を開始した。20233月にメキシコへの日本産精米の輸入が解禁後(2023年3月17日記事参照)、ジェトロが6月に開催したオンライン商談会に参加し、複数の日本米取り扱い企業との商談に臨んだ。その後、日本の企業と新潟県産コシヒカリ、北海道産ゆめぴりか、長野県産ミルキークイーンの3銘柄で成約した。

写真 ハンセアティックが販売を開始した日本産精米(ジェトロ撮影)

ハンセアティックが販売を開始した日本産精米(ジェトロ撮影)

メキシコへの精米(HS1006.30)輸入時の一般税率(MFN)は20%だが、ハンセアティックはジェトロの個別支援を受け、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)の特恵関税率を適用し、2023年時点の関税率8%で通関を成功させた。これにより12%分の関税削減となり、メキシコ国内でのベンチマークとなるカリフォルニア産米との価格競争力を得た(注1)。

ハイエンド小売店をターゲットにしたブランド戦略を展開

ハンセアティックは1998年に設立され、当初は輸入業と卸売業に従事していたが、2022年に自社店舗兼ショールームを開設し、輸入・卸・小売りの一気通貫で海外の優良商品をメキシコ市場に紹介している。現在は、日本を含む20カ国・55社から約500商品を輸入している。販売チャンネルのうち特に強みを持つのが、ハイエンド層向け小売店への卸売りで、ハンセアティックの総売上高の約8割を占める。メキシコの最高級デパートであるパラシオ・デ・イエロ(Palacio de Hierro)の輸入食材コーナーの最前面棚には、必ずハンセアティックの商品が並ぶ。また、メキシコ5大スーパーマーケットチェーン(注2)がそれぞれ展開する、最上級ブランドスーパーのほぼ全店舗に販売している。その中でも、国内に13店舗を展開するラ・コメール・グループ(La Comer Group)のシティ・マーケット(City Market)には、ハンセアティックのプライベートブランドも多く収めている。なお、ハンセアティックの扱う商品が別の企業によってメキシコ内で安価に販売されることを防ぐため、国外の企業との取引の場合は総代理店契約の締結をポリシーとしている。

(注1)CPTPPを適用した場合の関税率は20%を基準税率(ベースレート)として、2018年の発効から毎年2%ずつ削減され、2024年が6%、2025年が4%、2026年が2%、2027年以降は0%となる。

(注2)5大スーパーマーケットは、シティ・マーケット(City Market)、ウォルマート(Walmart)、ソリアーナ(Soriana)、チェドラウイ(Chedraui)、エイチ・イー・ビー(H-E-B)。この5社の売上高合計は、メキシコの小売業界の総売上高の約6割を占める。

(志賀大祐)

(メキシコ、日本)

ビジネス短信 778edaf8cac645aa