米財務省、ロシア産原油の上限価格違反に対し制裁、新たにダイヤモンド輸入禁止措置を発表

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2024年02月13日

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は2月8日、上限を超える価格で取引されたロシア産原油の海上輸送に関与したとして、外国の事業体4社と船舶1隻を金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国や日本を含むG7諸国、EU、オーストラリアが参加する「上限価格連合」は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアの石油収入を制限することを目的に、2022年12月以降、海上輸送されるロシア産原油に1バレル当たり60ドルの上限価格を設定している(2022年12月6日記事参照)。同連合は、参加国・地域の企業に対して、上限を超えない価格で取引されたロシア産原油の海上輸送および関連サービスを提供することを許容している。一方で、上限を超える価格で取引されたロシア産原油については、それらの提供を禁止している。

今回は、上限を超える価格で取引されたロシア産原油の海上輸送に利用された、ロシア政府を最終所有者とする船舶(NS Leader)1隻と、その船舶の登録者であるリベリアのNSリーダー・シッピング(NS Leader Shipping)およびそれを運航管理するアラブ首長国連邦(UAE)のオイル・タンカーズSCF(Oil Tankers SCF)、取引に関与したUAEのジーニット(Zeenit)およびタラッサ(Talassa)の4社がSDNに指定された。SDNに指定された個人・事業体には、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。

2024年3月からロシア産の非工業用ダイヤモンドの輸入禁止

OFACはまた、3月1日からロシア産の非工業用ダイヤモンドの輸入を禁止すると発表した。これは2023年12月のG7首脳声明および同月のジョー・バイデン大統領の大統領令(2023年12月28日記事参照)を踏まえた措置となる。輸入が禁止されるのは、ロシアで採掘または採取された非工業用ダイヤモンド(注3)や、ロシアで産出またはロシアから輸出されたダイヤモンド・ジュエリーおよび選別されていないダイヤモンドで、OFACは今後、追加のガイダンスを発表する予定だとしている。

財務省のブライアン・ネルソン次官(テロ・金融インテリジェンス担当)は、「ロシア産原油の上限価格に違反した船舶に対する今回の措置は、われわれが違反を取り締まることができ、(今後も)取り締まるつもりであるという警告となるはずだ」「OFACの決定は、ダイヤモンド取引に由来するロシアの収入を減らすというG7首脳の合意を達成することに貢献するものだ」としている。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。SDN指定を今回受けた企業などの詳細は財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は同省の「ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、OFACのデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(注3)第三国において実質的に加工されたか否かにかかわらず、輸入が禁止される。

(葛西泰介)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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