パキスタン中銀、外国為替認定ディーラーの輸入代金前払いルールを変更

(パキスタン)

カラチ発

2024年02月09日

パキスタン中央銀行(SBP)は131日、為替政策局通達(EPD Circular Letter No. 01 of 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発出し、外国為替認定ディーラー(AD、注)がSBPの事前承認を得ることなく、輸入代金前払いを行うことを認めた。なお、これは適切なデューディリジェンスを行うことを前提としており、金額については信用状(L/C)またはインボイス価額の100%を上限とするとした。

従来は、製造業者は自社使用目的に限り設備、スペア部品、原料などの輸入には信用状価額の100%までの前払いが許されていた。同様に、製造業者、工業者および商業輸入者に対しては25,000ドルまで、医薬品・医療機器、航空機・船舶・港湾用部品、教育機関が輸入する実験機器、新聞・雑誌については1万ドルまで、救命医薬品・機器については5万ドルまでを上限として、輸入代金の前払いが許されていた。

発出された通知の添付文書APDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)には、輸入前払いが悪用されたり、マネーロンダリングに利用されたりしないように、ADがなすべき手続きなどが示されている。

例えば、ADは、適切なデューディリジェンスおよび「貿易決済に関係したマネーロンダリング(TBML)」の枠組みを順守することとしている。具体的には、輸入前払いの金額は顧客のプロファイル、輸入される物品の量と性質、および国際・国内市場における価格動向に見合ったものであることが求められ、商品が所定期間内に輸入されない場合は、前払い金の適時かつ本国への確実な返還を行う責任をADが負うとしている。そのためADは、前払い制度の不正利用リスク軽減に向け、当該取引の調査や受益者(=輸入者)の信ぴょう性確認など、必要な措置を講じることとした。

SBP為替政策局ジョイントディレクターのリズワン・アフメド氏は26日、ジェトロの取材に「本通達はSBPの事前承認が不要であることから規制緩和のように見えるが、円滑な取引は、銀行の外貨保有状況と、銀行が内部デューディリジェンス手続きに従ってどの産業セクターや企業を優先するかに左右される」と注意を促した。

(注)一般に銀行を指す。

(山口和紀)

(パキスタン)

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