持続可能な航空ハブ・ブループリント発表、2026年からSAF導入開始

(シンガポール)

シンガポール発

2024年02月27日

シンガポールのチー・ホンタット運輸相兼第2財務相は2月19日、航空部門の脱炭素化に向けたシンガポールの行動計画を定めた「持続可能な航空ハブ・ブループリント」を発表した。同計画の中で、チャンギ空港から出発する全ての国際便に対し2026年から持続可能な航空燃料(SAF)の利用を義務付けるとともに、乗客にSAF税を課す方針を明らかにした。

シンガポール民間航空庁(CAAS)は同計画で、チャンギとセレタの2カ所の空港運営に伴う国内の温室効果ガスの排出量を、2030年までに2019年の水準(404二酸化炭素換算キロトン)と比較して20%削減する目標を設定した。さらに、2050年までに国内および国際航空路線の温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にするとした。同庁はこれら目標を達成するための、空港、航空機、航空管制に係わる12のイニシアティブを同計画に盛り込んでいる(詳細は添付資料表参照)。

CAASは航空機の脱炭素化を実現するため、SAFの導入が必要不可欠だとしている。同庁は12のイニシアチブの1つとして、2026年から航空燃料の1%をSAFとして、2030年までに同比率を3~5%にまで引き上げるとの目標を設定した。

また、同庁は2026年から、同国から出発する航空便の乗客にSAF税を課税する。SAF税の税率は、SAF供給目標や市場価格とともに、各航空便の飛行距離と座席のクラスに応じて設定される。CAASの現時点での想定では、シンガポールから東京への直行便の場合、エコノミークラスでSAF税が6シンガポール・ドル(約672円、Sドル、1Sドル=約112円)となる見通しだ。乗客から徴収した税収は、SAFの調達に充てられる。

シンガポール・エアショー、環境持続可能なソリューションが焦点

同計画は、2024年2月20~25日に開催された航空ショー「シンガポール・エアショー」の関連イベントで発表された。エアショーは同国で隔年開催されているアジア最大の軍用・商業航空機の展示会で、世界3大航空ショーの1つだ。今回のショーでは、SAFをはじめとする環境持続可能なソリューションが焦点の1つとなった。SAFを含む再生燃料を製造するフィンランドのネステをはじめ、同ショーには約1,000の企業や団体が出展した。

写真 シンガポールで開催のエアショーで、SAFに関するセッションで議論するネステのアレキサンダー・クーパー副社長(再生可能航空部門担当、左端)(2月20日、ジェトロ撮影)

シンガポールで開催のエアショーで、SAFに関するセッションで議論するネステのアレキサンダー・クーパー副社長(再生可能航空部門担当、左端)(2月20日、ジェトロ撮影)

(本田智津絵)

(シンガポール)

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