世界腐敗認識指数ランキング、南アジアではブータンが最高位に

(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)

調査部アジア大洋州課

2024年02月13日

世界各国の腐敗や汚職を監視する国際的なNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International:TI)」は1月30日、「2023年度腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index:CPI、注1)ランキング」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2023年の腐敗認識指数の上位3カ国は、180カ国・地域中、90点のデンマークを筆頭に、フィンランド、ニュージーランド。日本は73点で16位だった。

南アジア諸国(注2)では、ブータンが68点を獲得し、26位で最高位となり、インド(39点、93位)、モルディブ(39点、93位)、ネパール(35点、108位)、スリランカ(34点、115位)、パキスタン(29点、133位)、バングラデシュ(24点、149位)、アフガニスタン(20点、162位)と続いた。

同報告書では、パキスタンとスリランカは債務負担とそれに伴う政情不安に苦しんでいるものの、両国には強力な司法による監視が機能しており、政府の抑制に役立っていると指摘した。特にパキスタンの最高裁判所が憲法第19条Aに基づく情報公開の権利をこれまで制限されていた機関にも拡大し、国民の情報公開の権利を強化したことを評価した。また、スリランカ最高裁判所が同国の経済危機を招いた責任はゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領、マヒンダ・ラージャパクサ前首相、経済政策を担ったその他高官にあると認定する判決を出したことにも言及している。

他方、インドでは、2024年春に予定されている総選挙を前に、「基本的権利に対する重大な脅威」となり得る電信法が可決されたことに危機感を示した。バングラデシュでは、2026年には後発開発途上国(LDC)からの卒業も予定され、順調な経済成長が同国の貧困の継続的削減、生活環境の改善に寄与しているものの、報道機関に対する弾圧が続き、公的部門に関する情報の流れが妨げられていると警鐘を鳴らした(2024年2月7日記事参照)。

(注)クリーン度を100点満点とし、点数が高いほど汚職が少ないことを表す。賄賂、公権力の乱用、公的サービス分野での縁故主義、利益相反防止・情報開示などに向けた法制度の有無などの基準に基づき、公的部門の腐敗度を、0(極めて腐敗している)から100(極めてクリーン)まで指数化している。

(注2)TIの区分では、アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブの8カ国を指す。

(寺島かほる)

(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)

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