北マケドニアの有望スタートアップによるピッチイベントを開催

(北マケドニア、日本)

ウィーン発

2024年02月05日

ジェトロは1月23日、北マケドニアのイノベーション・技術開発基金(FITD)と共催で、ウェビナー「北マケドニア・オンライン・スタートアップ・ピッチ」を開催し、同国の有望スタートアップ4社が登壇した。

冒頭あいさつにおいて、神野達雄ジェトロ・ウィーン事務所長が、2024年が日本と北マケドニアの外交関係樹立30周年であること、北マケドニアには理数系人材やIT人材が豊富にいること、そして3月5~8日には日本からのビジネスミッションの派遣を予定していることを紹介した(注)。ミッション派遣時には、登壇スタートアップとのリアルでのネットワーキングイベントも開催することを述べ、ミッションへの参加を呼びかけた。

イノベーション・技術開発基金のフェスティン・ハリリ理事長は、同基金が2023年12月に10周年を迎えたこと、大学などのアカデミアや民間のアクセラレーターと協力して同国のスタートアップを支援していることを紹介した。また、同基金のポートフォリオは、特にIT分野、工学技術分野が大きく占めるとした。

ピッチでは、次の4社が登壇した。

アースケア・エーアイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〔EarthCare.ai、ゴルヤン・ヨバノフスキ最高経営責任者(CEO)および共同創設者〕

保険業、農業、不動産・小売業などあらゆる業種に対し、気候変動に伴うリスク対策の強化に寄与する環境および気候データのプラットフォームを提供する。同社は、自然災害が多く気候問題に対処することの多い日本との協業を期待しており、気候データや地球観測などに詳しい専門家や企業などの科学的な観点からの連携相手、および日本市場への理解を深めるための連携相手の両方を求めているとした。

コードウェル・エーアイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(CodeWell AI、ニノ・カラスCEOおよび共同創設者)

人工知能(AI)により、カスタマーサービスや営業などを担うデジタル従業員を開発する。日本語を含む96言語に対応しているが、国によって慣習やカスタマーサービスでの問い合わせ内容なども異なるので、日本市場へソフトランディングできるよう、日本企業とのパートナーシップに期待していると伝えた。

ドリルテック・システムズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〔Drilltek Systems、ミレ・ソセフスキCEO、ビオレッタ・ソセフスカ最高製品責任者(CPO)〕

自律型掘削ドローンを提供し、安価な、そして効率的な掘削作業の実現に寄与する。ドローンの活用により、これまでは機械の搬入などに必要だった掘削のための作業場所を最小限に抑えることができ、圧倒的な作業時間短縮に貢献する。日本企業へは、日本市場にて一緒にビジネスを行うための技術的な協業や投資に期待している旨を語った。

ホーヨー・テック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Hoyo Tech、ダシュミル・イストレフィCEO)

モノのインターネット(IoT)を用いたソリューションを提供するスタートアップ。北マケドニアに2拠点あるほか、周辺国コソボやスイス・チューリッヒ、さらには米国・ニューヨークにもオフィスを持つ。日本企業との協業により、日本の最先端技術を取り入れるほか、競合企業が多いマス市場向けではなく特定のプロジェクトにおいて、ともに研究開発を行い顧客向けにカスタマイズしていきたいとの意気込みを語った。

参加者からは、これまで北マケドニアのスタートアップ情報にリーチできる機会がなかったため、有益な情報が得られたとのコメントがあったほか、北マケドニアのスタートアップがこれほどまでに成熟していることへの驚きの声などが寄せられた。

(注)本イベントに先立ち、ジェトロは2023年11月15日、在北マケドニア日本大使館と共催で、ウェビナー「北マケドニア最新ビジネス環境」を開催した(2024年1月23日付地域・分析レポート参照)。

(神谷真由)

(北マケドニア、日本)

ビジネス短信 5ae31a5bd33accc6