米西部の太陽光発電計画の範囲拡大、米国土地管理局によるウェビナー開催

(米国)

ロサンゼルス発

2024年02月06日

米国内務省(DOI)土地管理局(BLM)は2月5日、米国西部の太陽光エネルギー発電の立地可能性などを含む「西部太陽光発電計画」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの改定内容に関するウェビナーを開催した。各地の政府関係者や太陽光発電に関連する事業者ら約235人が参加した。

DOIはウェビナーで、バイデン政権が1月17日に掲げた2035年までに発電による温室効果ガス(GHG)排出量をゼロにする目標の達成に向けた取り組みとして、35万世帯以上に再生可能エネルギーの電力供給を許可したと発表した。2012年の「西部太陽光発電計画」発表時点では、米国の目標達成には約70万エーカー(約2,833平方キロ)の公有地が必要とされていたが、今回の改定では、土地を最大限に活用した場合に約2,200万エーカー(約8万937平方キロ)の太陽光発電が可能としており、目標が達成できるものとしている。

BLMは太平洋からロッキー山脈に至る地域のうち、太陽光発電の立地に適しているとされる土地を特定し、これまでの西部6州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ネバダ、ニューメキシコ、ユタ)に加えて、さらに5州(アイダホ、モンタナ、オレゴン、ワシントン、ワイオミング)を追加した全11州の公有地で、広範囲の太陽光発電計画を進める予定だ。

BLM再生可能エネルギー調整室太陽光発電を担当するジェレミー・ブルマ室長代行はウェビナーで「土地管理局は過去10 年半にわたって9,400メガワット(MW)の太陽光発電を許可してきた」と述べ、「当初は太陽光発電を可能とするのは6州とみていたが、オレゴン州、アイダホ州、ワイオミング州といった比較的北部の州や、さらに北部に位置するワシントン州とモンタナ州についても、事前計画を立てることにより可能」と太陽光発電の実績に基づいた計画を説明した。

対象州の拡大以外の「西部太陽光発電計画」の主な改定内容は次のとおり。

  • (太陽光の)導入が可能なさらに広範な地域の特定(ただし、詳細なスクリーニング、分析を要する)
  • 最低5MWもしくはそれ以上の小規模計画も可(当初は20MWかそれ以上)
  • 斜面での制限撤廃や、部分的に斜面がある地域での開発許可など
  • 2012年の除外要件に対する追加や強化
  • 計画済みのデザインに対する追加や更新

改定には送電系統への近接性など異なる条件ごとに太陽光発電を配置する5つの選択肢(シナリオ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが含まれており、自然豊かな地域の保護と、太陽光発電に適した立地かという技術的な内容も選定の基準となっている。今回の改定にあたり、BLMは観光エリアや歴史的財産にかかわる場所、雇用創出や住宅など発電の開発が計画されるコミュニティー近辺の懸念を含め、各方面のコメントを4月18日まで公募する。詳細はBLMのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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