ブルキナファソ、マリ、ニジェール、西アフリカ諸国経済共同体から脱退を発表

(アフリカ、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ロシア、コートジボワール、ECOWAS)

アビジャン発

2024年02月01日

西アフリカのブルキナファソ、マリ、ニジェールの3カ国は1月28日、地域15カ国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS、注)を即時脱退するとの共同声明を発表した。

ニジェール軍事政権の報道官は声明で「ECOWASは、サヘル地域で何千人もの犠牲者を出したテロ行為に対し、われわれを支援することができなかった」としたほか、「ECOWASは外国勢力の影響下にあり、創設の理念を裏切り、加盟国と国民にとって脅威となっている」と批判した。

これら3カ国では2020年から2023年にかけて、軍部がそれぞれクーデターで政権を掌握した。ECOWASはこれらの軍事政権を承認しないとし、経済制裁などを通じて圧力をかけ、早期の民政復帰を求めてきた。

これに対し、ブルキナファソとマリの軍政指導者らは、2024年中の民政移管を約束していたが、イスラム過激派とつながりのあるテロ組織の封じ込めに苦慮する中、選挙実施前に治安回復を優先すると主張していた。

ECOWASは1月28日、「ブルキナファソ、マリ、ニジェールによるECOWAS脱退決定を注視している」とする声明を出す一方、3カ国からの正式な通知は受けていないとしている。

これら3カ国をはじめとするサヘル地域では近年、イスラム過激派などが勢力を拡大し、治安が悪化していた。こうした中、マリ、ブルキナファソ、ニジェールでは、政府のテロ対策の不満などの理由で軍事クーデターが相次いだ。政権を掌握したこれら3カ国の軍部は、旧宗主国フランスの駐留軍を撤収させ、EUとの安全保障協定を破棄するとともに、ロシア寄りの姿勢を強め、反欧米色を鮮明にしている。

報道によると、ロシア国防省は民間軍事会社ワグネルに代わる「アフリカ部隊」を創設し、親ロシアのアフリカ各国に展開する計画だという。また、同省が1月16日、ニジェールと軍事協力を発展させることで合意したほか、24日にはブルキナファソに100人の部隊を派兵したことを明らかにした。

一方、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1月21~26日、カーボベルデ、コートジボワール、ナイジェリア、アンゴラのアフリカ4カ国を訪問した(2024年1月29日記事参照)。ブリンケン国務長官は、西アフリカで相次ぐクーデターに懸念を示し、各国首脳らと地域における安全保障上の課題などを焦点に協議した。

(注)ECOWASはベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴの15カ国で構成。

(渡辺久美子)

(アフリカ、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ロシア、コートジボワール、ECOWAS)

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