モスクワの食品見本市、アジア食品に注目集まる

(ロシア)

調査部欧州課

2024年02月29日

モスクワ市中心部に近い展示会場エクスポセンターで2月5日から9日、国内最大の食品見本市「プロドエクスポ」が開催された。主催者の発表(2月26日)によると、31回目の開催となった2024年は7万1,414人が会場に足を運んだ。過去の来場者数を見ると、ロシアによるウクライナ侵攻直前の2022年(2月7~11日)は5万人を下回ったものの、翌2023年には前年比39.0%増の6万7,753人と急増し、2024年も再び前年比増を記録した。新型コロナウイルス禍の影響を受ける以前には来場者数は毎年6万5,000~7万人の間で推移していた。

出展企業数は前年比8.0%増の2,195社。ナショナルパビリオンを設置したのは2023年から変わらず、11カ国だった(注)。新型コロナ禍による行動制限の導入前に開催された2020年2月には29カ国がナショナルパビリオンを設置した。

アジア風調味料を出展するロシア企業も

アジアスタイルの食事の人気の高まりを背景に、会場では「アジア食材」をテーマにした集合ブースもみられた。出展企業の1つ、モスクワ本社の食品メーカーのタマキは、しょうゆやすし酢、みりんのほか、ロシアで人気の高い照り焼きソースやスリラッチャ(シラチャ)など多くの調味料を出品。同社はアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国で開催される食品見本市「ガルフード」にも参加するなど、海外市場の開拓に積極的に取り組んでいる。

韓国は、ロシアが指定する「非友好的国」(2022年3月9日記事参照)として唯一、ナショナルパビリオンを設置した。オーガナイザーの政府系団体に会場で話を聞いたところ(2月7日)、出展企業9社のうち4社は既にロシアにディストリビューターを有し、既存ビジネスの拡大を目指している。残りの5社はロシア市場への新規参入を目指してナショナルパビリオンに出展したという。

写真 イランをはじめ11カ国がナショナルパビリオンを設置(ジェトロ撮影)

イランをはじめ11カ国がナショナルパビリオンを設置(ジェトロ撮影)

(注)アゼルバイジャン、ベラルーシ、ブラジル、中国、イラン、キルギス、韓国、セルビア、スリランカ、チュニジア、トルコ。

(欧州課)

(ロシア)

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