ハワイ著名シェフとインフルエンサーを愛媛にも招聘、ネットワーキングイベントを実施

(愛媛、米国)

愛媛発

2024年02月09日

ジェトロは日本産水産物の魅力を発信するため1月31日~2月1日、米国ハワイで活躍するロイ・ヤマグチ氏、クリスチャン・テスタ氏ら著名シェフ10人とインフルエンサー5人(添付資料参照)を愛媛県に招聘(しょうへい)した。本イベントは、ハワイ市場における日本産水産物の消費拡大と商流構築を一体的に取り組む「ハワイにおける日本産水産物集中プロモーション」の一環で行われ、愛媛のほか、東京、福岡も訪問した(2024年2月6日記事参照)。

招聘者は、愛媛県宇和島市を訪問し、生産者訪問や輸出事業者とのネットワーキングを行った。

愛媛では、養殖魚輸出事業者である宇和島プロジェクトおよび生産者の中田水産を訪問し、みかんピールを魚の飼料に混ぜて育てる「みかん鯛」(注1)の養殖場見学や一本釣り体験を行った。その後、辻水産を訪問し、最新人工知能(AI)給餌システムで真鯛に給餌する様子を見学したほか、「だてまぐろ」(注2)加工場を視察した。

写真 辻水産にて120キロ超マグロとシェフ、インフルエンサー15人(ジェトロ撮影)

辻水産にて120キロ超マグロとシェフ、インフルエンサー15人(ジェトロ撮影)

また、一行は、愛媛県立宇和島水産高等学校(以下、宇和島水産高校)も訪問し、愛媛県事業者4社とのネットワーキングイベントに参加。愛媛県事業者が用意した真鯛炊き込みご飯、アコヤ貝柱の素揚げ、ブリ刺し身などを試食しながら意見交換を行った。会場となった宇和島水産高校の生徒が、同校で開発する缶詰(注3)について英語でプレゼンテーションを行った。

写真 ネットワーキングでの事業者との意見交換(ジェトロ撮影)

ネットワーキングでの事業者との意見交換(ジェトロ撮影)

その後、招聘したシェフ9人による愛媛県産食材を使った調理実演が行われ、香草を添えたマダイの茶漬け、特製みかんポン酢がけブリや、隠し味に愛媛県のオリジナル品種の柑橘「甘平(かんぺい)」を使ったマグロのユッケなど、創作料理をふるまった。

ハワイ側参加者からは、「ハワイには日系コミュニティーがあり、縁起物としてのめでたい鯛にもなじみがある。おいしい養殖マダイがハワイでも手に入るようになればうれしい」「直接、生産者と対話できたことで、水産養殖について理解が深められた」とのコメントがあった。参加した事業者からも、「ハワイにはすでに輸出しているが、どのように現地で消費されているのか、今後、輸出に取り組むうえでさらなるヒントを得た」などの声が聞かれた。今回の視察の様子は、若者に人気のあるコリーナ・クアック氏、ブライシン・カレ氏をはじめとする有力インフルエンサーのSNSでも発信され、日本産水産物の絶好のPRの機会となった。

写真 調理実演を行うシェフ(ジェトロ撮影)

調理実演を行うシェフ(ジェトロ撮影)

写真 インフルエンサーによるSNS発信の様子(左@fiveftfoodie、右@hawaiisonly)(それぞれのインスタグラムより)

インフルエンサーによるSNS発信の様子(左@fiveftfoodie、右@hawaiisonly)(それぞれのインスタグラムより)

愛媛では魚類養殖業が盛んで(注4)、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を受けた、一部の国・地域による輸入停止の影響を受ける中、各事業者が新規・代替市場の販路開拓に積極的に取り組んでいる。

(注1)「みかん鯛」は、廃棄されるミカンの皮を再利用するサステイナブルな商品で、ミカンに含まれる抗酸化作用により身質の改善、褐変(かっぺん)防止などの効果があるという。

(注2)宇和海産クロマグロのブランド名。

(注3)宇和島水産高校では、数年前からブリや真鯛を使った缶詰を開発・製造しており、2018年に米国ハワイへ初めて輸出した。「新輸出大国コンソーシアム活用事例集」参照。

(注4)愛媛県が発表する「えひめの水産統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2021年のブリ類(カンパチを含む)、マダイ、シマアジの養殖生産量はそれぞれ2万288トン(全国2位)、3万7,751トン(全国1位)、1,749トン(全国1位)を記録している。

(松野はるな、福島美夏)

(愛媛、米国)

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