2023年通年の経済成長率は1.1%、速報値から下方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2024年02月27日

シンガポール貿易産業省(MTI)は2月15日、2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(経済成長率)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが前年同期比で2.2%となり、2023年通年では前年比1.1%だったと発表した。2024年1月に発表した速報値(2024年1月11日記事参照)から第4四半期は0.6ポイント、通年で0.1ポイント下方修正した。

2023年第4四半期の成長率を産業別にみると、製造業で前年同期比1.4%成長し、前期のマイナス4.9%から反転した。エレクトロニクス、輸送エンジニアリング、化学分野での生産拡大が成長に寄与した。また、建設業は5.2%成長した。公共・民間双方の部門で建設受注高が増加し、前期の3.7%から成長が加速した。

2024年通年の経済成長率については、2023年11月に発表した「1.0~3.0%」との予測を維持した(2023年11月30日記事参照)。MTIは予測の理由を、エレクトロニクス製品の世界的な需要回復により、シンガポールの製造業と輸出関連産業が緩やかに回復するためなどとした。

貿易は2023年に減少も、2024年にかけて回復の兆し

MTI管轄下のシンガポール企業庁(エンタープライズシンガポール)が同日発表した2023年第4四半期の貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、第4四半期の貿易総額は2,843億8,340万シンガポールドル(約31兆8,509億円、Sドル、1Sドル=約112円)で、前年同期比で2.1%減少したが、前期(16.5%減)からは大幅に減少率が縮小した。2023年通年の貿易総額は1兆2,057億2,260万Sドルで前年比11.7%減少した。2021年の19.7%増、2022年の17.7%増から転じ、大幅に減少した。2023年の輸出額は6,384億350万Sドルで13.4%減、輸入額は5,673億1,910万Sドルで10.1%減だった。

第4四半期の非石油部門の地場輸出額(NODX、注)は432億3,640万Sドルで、前年同期比1.4%減少したが、前期(19.5%減)からは減少が緩やかになった。一方で、通年では1,731億7,000万Sドルと、2022年の3.0%増加から転じ、13.1%減少した。うち、エレクトロニクス製品は19.7%減少し、非エレクトロニクス製品は11.1%減少した。2023年通年のNODXを国・地域別にみると、米国を除く主要国・地域向けで減少した。台湾(30.1%減)、インドネシア(24.9%減)、マレーシア(20.3%減)で減少率が大きかった。日本は13.4%減少した。

シンガポール企業は、2024年の財貿易総額の見通しについて「4.0~6.0%増」とした2023年11月時点の予測を維持したが、電子機器の在庫水準が2024年に正常化するにつれて需要が徐々に回復することなどを挙げ、NODXについては「2.0~4.0%増」から「4.0~6.0%増」へ予測値を引き上げた。

(注)自国生産による財輸出で、再輸出を除く。品目別、国・地域別の詳細な金額は発表されていない。

(糸川更恵)

(シンガポール)

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