世界需要の低迷受け、2023年の輸出入はともに減少

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年02月08日

マレーシア統計局は1月26日、2023年通年の貿易総額が前年比7.3%減の2兆6,373億リンギ(約81兆7,547億円、1リンギ=約31円)だったと発表した(添付資料表1参照)。前年割れとなったものの、3年連続で2兆リンギを超えた。マレーシア投資貿易産業省(MITI)によると、世界需要低迷、コモディティー価格下落、地政学的な不確実性、インフレ率上昇、半導体産業のダウンサイクル(下降局面)、前年からの反動減などが減少の要因だった。

輸出額は1兆4,257億リンギ、輸入額は1兆2,116億リンギと、ともに減少した。ただ、輸出は3年連続、輸入は2年連続で1兆リンギを超えた。貿易収支は16.4%減の2,141億リンギと前年を下回ったが、26年連続で黒字を維持した。

輸出を品目別にみると、全体の4割を占める電気・電子製品が5,755億リンギで、前年比で3.0%減少した(添付資料表2参照)。うち、同品目の5割強を占める集積回路が1.0%減の2,989億リンギだった。次いで、精製石油製品(10.7%減の1,339億リンギ)、液化天然ガス(LNG)(12.4%減の596億リンギ)、パーム油・同製品(27.9%減の594億リンギ)、専門・科学・制御機器および装置(3.6%減の504億リンギ)が続き、主要品目が軒並み前年割れだった。

輸入では、電気・電子製品(9.5%減の3,559億リンギ)、精製石油製品(4.8%減の1,303億リンギ)、原油(15.2%増の610億リンギ)、特定産業・部品用の機械および装置(1.0%減の224億リンギ)、トラクター・自動車などの部品および付属品(14.3%増の195億リンギ)が続いた。

国・地域別にみると、主要相手国向けの輸出も軒並み前年割れだった。首位のシンガポールが前年比5.7%減の2,193億リンギだった(添付資料表3参照)。次いで中国が8.7%減の1,922億リンギで2位だった。MITIによると、中国向けでは、電気・電子製品、パーム油・同製品、鉄鋼製品の輸出が減少した。米国は1,613億リンギで、3.5%減の下げ幅にとどまった。木材製品、ゴム製品、鉄鋼製品の輸出が減少した一方、6割を占める電気・電子製品が下支えした。以下、香港(6.1%減の898億リンギ)、日本(13.1%減の857億リンギ)が続いた。日本向けの輸出減は、LNG、電気・電子製品、石油製品の需要縮小が原因だった。

輸入では、中国(6.2%減の2,586億リンギ)、シンガポール(6.5%増の1,438億リンギ)、米国(11.4%減の890億リンギ)、台湾(20.9%減の838億リンギ)、日本(14.6%減の709億リンギ)と続き、シンガポールのみ前年を上回った。

なお、四半期ごとの輸出増減率をみると、各国・地域の寄与度はマイナスが続くも、EU以外の国・地域のマイナス幅は第3四半期から第4四半期にかけて縮小した(添付資料図参照)。

ユナイテッド・オーバーシーズ銀行の研究所(UOBリサーチ)は、2023年の輸出の減少幅(8.0%減)が予想の7.2%減よりも大きく、かつ2009年以来の落ち込みだったとした。2024年には反動増がみられるほか、半導体市況の好転、中国経済の安定化、世界経済の軟着陸、世界各国の中央銀行による段階的な金融緩和政策などが、地域貿易の回復を後押しすると楽観的な見通しを示した。同研究所は、2024年の輸出は3.5%増に好転すると予測している。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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