2023年のタイの国境貿易額は前年比2.6%減も、対中国は4割増

(タイ)

バンコク発

2024年02月13日

タイ商務省外国貿易局(DFT)は1月26日、2023年の同国の国境貿易額を前年比2.6%減の1兆7,428億800万バーツ(約7兆3,198億円、1バーツ=約4.2円)と発表した。輸出は4.6%減の9,807億2,900万バーツ、輸入は0.2%増の7,620億7,900万バーツだった。国境貿易の黒字額は2,186億5,000万バーツとなった。

タイの国境貿易は、国境を接する4カ国との隣国貿易と、国境を通って隣国を通過し、第三国と取引する通過貿易に大別される。2023年の周辺4カ国(ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシア)との国境貿易額は9,297億3,000万バーツ、輸出額は5,801億バーツ、輸入額は3,496億3,000万バーツだった。DFTによると、2023年の隣国貿易では、ラオスの高インフレや通貨安、ミャンマーでの内戦の継続、カンボジアの国内消費市場の回復の遅れ、周辺国での国内情勢の不安定さなどが要因となって減速した。

国境を接する4カ国のうち、最大の貿易相手国はマレーシアで、2,871億5,500万バーツに上った。次いで、ラオス(2,605億1,200万バーツ)、ミャンマー(2,203億2,700万バーツ)、カンボジア(1,617億3,600万バーツ)の順だった。主な輸出品目は、ディーゼル油(401億4,300万バーツ)、その他の完成油(196億7,200万バーツ)、コンピュータ・同部品(151億2,000万バーツ)だった。隣国との国境貿易で最も金額が大きい国境検問所はサダオ国境検問所(2,265億5,400万バーツ)で、次いで、メーソット国境検問所(1,068億3,500万バーツ)、アランヤプラテート国境検問所(971億8,500万バーツ)となった。

隣国を通過して第三国と取引する通過貿易の総額は、前年比11.2%増の8,130億7,800万バーツだった。輸出は5.3%増の4,006億2,900万バーツ、輸入は17.7%増の4,124億4,900万バーツだった。最大の貿易相手国は中国で、貿易額は4,231億1,600万バーツに上った。次いで、シンガポール(1,066億7,600万バーツ)、ベトナム(701億3,800万バーツ)だった。主な輸出品目は、生鮮ドリアン(936億9,200万バーツ)、ハードディスクドライブ(776億8,500万バーツ)、技術的な格付けをした天然ゴム(TSNR、282億8,000万バーツ)など。第三国との通過貿易額が大きかった国境検問所は、ムクダハン国境検問所(2,864億2,500万バーツ)、サダオ国境検問所(2,079億4,400万バーツ)、ナコンパノム国境検問所(953億9,200万バーツ)だった。

第三国との通過貿易は拡大基調となっており、特に中国との貿易額は前年比44.1%増の4,231億1,600万バーツに上り、タイの通過貿易総額の大半を占めた。タイから中国への通過貿易による輸出は35.4%増の2,138億1,500万バーツに拡大した。中国への主な輸出品目は、生鮮ドリアン(936億6,400万バーツ、前年比81.7%増)、ハードディスクドライブ(269億7,500万バーツ、41.8%増)、加工木材(191億8,700万バーツ、49.9%増)などだった。中国に輸出される生鮮ドリアンが通過する主な国境検問所は、ムクダハン、ナコンパノム、チェンコンとなっている。ハードディスクドライブは主にムクダハンを経由して輸出され、加工木材はマレーシア国境のサダオとパダンベサールから輸出されている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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