バイデン米政権、6億2,300万ドルのEV充電器設置助成金受給者を発表、50万基達成へ順調に推移

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月12日

米国運輸省連邦道路局(FHWA)は1月11日、全米の電気自動車(EV)充電ネットワーク構築に向けた6億2,300万ドルの助成金の支給対象となるプログラムを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同助成金は、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)の下で定められた総額25億ドルの「充電および燃料供給インフラ(CFI)に関する裁量的助成金プログラム」の一環で、運輸省とエネルギー省による共同オフィスが管轄する(2023年3月16日記事参照)。今回の助成金のうち3億1,100万ドルは学校や公園を含むコミュニティー、残りの3億1,200万ドルは代替燃料回廊(注1)沿いの充電器設置分に割り当てる。

今回の助成金は、22州とプエルトリコでの47件のプロジェクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに提供される。助成額最多はテキサス州での中・大型貨物トラック用の充電・水素充填施設設置に向けた7,000万ドル、次いで、ニューメキシコ州の州間高速道路の中・大型車向けクリーン燃料プログラム(6,390万ドル)など。また、CFIはジョー・バイデン大統領が提唱する「ジャスティス40イニシアチブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注2)の推進も視野に入れており、アラスカ州のチルクート・インディアン協会(140万ドル)や、アリゾナ州のサンカルロスアパッチ先住民協会(50万ドル)、ニューメキシコ州のタオス市(50万ドル)といったコミュニティーが主催するプロジェクトも対象となった。

今回の助成金発表に先立ち、アリ・ザイディ大統領補佐官兼国家気候アドバイザーは記者会見で「2023年には全国に約17万基の充電器を配備した。50万基の充電器を設置して全国的な基幹網を構築するという大統領の目標を達成させ、(さらに)それを上回るよう、順調に加速させている」と発表した(オートモーティブ・ニュース1月11日)。また、運輸省のピート・ブティジェッジ長官は「この資金は、米国のドライバーにとってEV用充電器がアクセスしやすく、信頼性が高く、便利なことを保証するとともに、米国の労働者に充電器の製造や設置、メンテナンスの雇用を創出するのに役立つ」として、今後の展開に期待を示した。さらに、エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は「全国のすべてのコミュニティーは、便利で信頼できるクリーンな交通機関を利用する権利がある」と述べた。

米政府はCFIのほかに、代替燃料回廊に重点を置いた総額50億ドルの「NEVIフォーミュラプログラム」も展開しており(2022年9月29日記事参照)、既にオハイオ州、ニューヨーク州で稼働を開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたほか、ペンシルベニア州、メーン州でも設置工事が始まっている。CFIではNEVIフォーミュラプログラムを補完し、地元により密着したエリアへの設置を充実させることで、EV普及の促進を目指す。

(注1)陸上交通修繕法(FAST法)セクション1413の下、電気、水素燃料電池、プロパン、天然ガスの燃料供給技術を採用する乗用車、商用車の全米での機動性を向上させるため、連邦政府が主要な高速道路沿いに指定した充電・代替燃料供給施設を結ぶネットワーク。

(注2)気候変動対策やクリーンエネルギーへの連邦政府の投資から得られる利益全体の少なくとも40%を地域社会に提供するバイデン政権によるプログラム。

(大原典子)

(米国)

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