ウクライナ、冬の電力消費量が大幅に回復

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2024年01月29日

ウクライナ・エネルギー省は1月26日、2023年11月および12月の同国の産業分野での電力消費量を発表した。2023年11月の同消費量は22億6,000万キロワット(kW)となり、前年同月の17億9,000万kWより26%増加した。同12月は23億4,000万kWで、前年同月の16億9,000万kWと比べ38%増とさらに大きな増加を記録した。2022年10月から2023年2月にかけて、ロシアによるウクライナへの電力インフラへの攻撃が行われた影響により、大きく落ち込んでいた同国の電力消費量が回復してきていることがうかがえる。

ヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー相はプレスリリースの中で、「産業分野での電力消費量が増加し、その結果として国民経済の成長が可能となったのは、電力システムの安定稼働の実現によるところが大きい。敵の攻撃にもかかわらず、2023年2月以来、われわれは産業分野と一般家庭の両方へ途切れることのない電力供給を確保することに成功した」と述べた。

家庭の電力消費量も、同じく増加を記録した。2023年12月の電力消費量は、前年同月比で11%以上の増加となった。

エネルギー省はこれらの指標が達成できた要因として、同省が連携してエネルギー施設の大規模修繕活動を実施し、その結果、発電が安定的に行われたことを挙げている。

国有電力会社ウクルエネルゴが運営する、ウクライナ統一エネルギーシステムの2023年の電力収支予測に基づく当初計画値と比較すると、原子力発電が計画よりも10%多いほか、水力発電が計画を37%上回った。その一方で、火力発電と熱併給発電は計画をそれぞれ24%、10%下回った。

ウクライナでの原子力発電については、ハルシチェンコ・エネルギー相が1月25日のロイターによるインタビュー記事の中で、ウクライナ西部のフメリニツキー原子力発電所に2024年新たに4基の原子炉の建設工事を開始する予定を明らかにしている。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ)

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