12月の米小売売上高、前月比0.6%増と市場予想上回る、無店舗小売りや自動車が寄与

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月19日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1月17日付)によると、12月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%増の7,099億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.4%増)を上回った。なお、11月の売上高は前月比0.3%増(速報値)から改定されなかった(2023年12月15日記事参照)。

無店舗小売り、自動車・同部品、総合小売りなどが押し上げ要因に

業種別にみると、無店舗小売りが前月比1.5%増の1,205億ドル(寄与度:プラス0.26ポイント)と全体を最も押し上げた。次いで、自動車・同部品が1.1%増の1,365億ドル(プラス0.21ポイント)、総合小売りが1.3%増の740億ドル(プラス0.14ポイント)と増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは1.3%減の532億ドル(マイナス0.10ポイント)と減少した。

今回の結果について、消費者金融サービスを提供するバンクレートのシニア・インダストリー・アナリストのテッド・ロスマン氏は、ホリデー期間中の個人消費は「驚くほど好調」だったとしながらも、「人々がどのようにしてこれらのものに支払いをしているのかが心配だ」と付け加えた。同氏はその背景として、クレジットカードの残高と金利が2023年末商戦前から既に過去最高を記録していたことや、支払いを分割できる柔軟な後払い決済〔バイナウ・ペイレーター(BNPL)〕(注)サービスの利用が2023年のホリデーシーズンから急増していることを挙げた(AP通信1月18日)。先行きについて、調査会社キャピタル・エコノミクスの米国担当副チーフエコノミストのアンドリュー・ハンター氏は「雇用と賃金の伸びが鈍化し、金利上昇の影響は遅れて現れることから、さらなる減速が待ち受けていると考えているが、より急激な景気後退を示唆する材料はまだ少ない」と指摘した(ブルームバーグ1月17日)。

民間調査会社コンファレンスボードが12月20日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした12月の消費者信頼感指数は、現在の経済状況や雇用環境を示す現況指数が148.5と、11月(136.5)から12.0ポイント上昇するなど(添付資料図参照)、消費者マインドの強さが12月の好調な消費を支えたことがうかがえる。他方で、同社のチーフエコノミストのダナ・ピーターソン氏は、現在の家計状況 (現況指数には含まれていない指標) について、「良い」と回答した割合が減少し、「悪い」との回答がわずかに増加したとし、「消費者の現在の財政状況に対する見方が、全体的な状況が1カ月前よりも改善しているという認識よりも、より冷静なものという可能性を示唆している」と指摘し、家計状況と消費行動が必ずしも一致していないとの見方を示した。また、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は85.6(11月:77.4)で8.2ポイント上昇し、景気後退リスクの高まりを示唆するベンチマークとなる80の水準を4カ月ぶりに脱したものの、「今後12カ月間で景気後退が起きる可能性がある」と回答した割合は依然として3分の2程度を占めている。

(注)商品やサービスを購入した後に代金を支払うもので、一般的には一定期間内での分割による後払いの形式をとり、その際に利子や手数料はかからない。

(樫葉さくら)

(米国)

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