11月の米小売売上高は前月比0.3%増、フードサービスや無店舗小売りが寄与

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月15日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12月14日付)によると、11月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%増の7,057億ドル(添付資料表参照)だった。ブルームバーグがまとめた市場予想(同0.1%減)に反して、2カ月ぶりの増加となったが、この売り上げ増は年末商戦による一時的なもので、個人消費の底堅さが低迷する可能性は依然として残っていることが示唆された。なお、10月の小売売上高は前月比0.1%減(速報値)から同0.2%減に下方修正された(2023年11月16日記事参照)。

フードサービス、無店舗小売りのほか、自動車・同部品などが押し上げ要因に

業種別にみると、フードサービスが前月比1.6%増の947億ドル(寄与度:プラス0.21ポイント)と全体を最も押し上げた。次いで、無店舗小売りが1.0%増の1,185億ドル(プラス0.17ポイント)、自動車・同部品が0.5%増の1,345億ドル(プラス0.10ポイント)と増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは2.9%減の544億ドル(マイナス0.23ポイント)と減少した。

今回の結果について、ブルームバーグのエコノミストのエステル・ウー氏は「11月の堅調な小売売上高は、消費者が引き続きオンラインセールを好み、高額商品や金利に敏感な消費カテゴリーから依然として距離を置いていることを示唆している。つまり、消費者はホリデーシーズンの気分に浸っている間も、物価上昇や金利上昇のピンチを実感している」として、年末商戦の大幅なセールが一時期的な販売増につながった可能性を指摘した(ブルームバーグ12月14日)。また、財務情報を提供するバンクレートのシニア産業アナリストのテッド・ロスマン氏は、クレジットカードの残高と金利が過去最高の水準に達しており、「今年(2023年)のホリデーシーズンの借金の悪影響は、特に深刻なものになる可能性がある」との懸念を示した(フォーチュン12月14日)。

民間調査会社コンファレンスボードが11月28日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした11月の消費者信頼感指数は102.0と、10月(99.1)より2.9ポイント上昇し、4カ月ぶりに改善したが、前月に続き2023年で2番目の低水準となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は138.2(10月:138.6)で0.4ポイント減少した。一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は77.8(10月:72.7)で5.1ポイント上昇した。ただ、期待指数は3カ月連続で景気後退のベンチマークとなる80を下回り、依然として今後1年以内の景気後退を示唆する水準で推移している。

同社のチーフエコノミストのダナ・ピーターソン氏は今回の結果について「11月の消費者信頼感の上昇は、主に55歳以上の世帯主に集中した。対照的に、35〜54歳の世帯主の信頼感はわずかに低下した。所得層全体では、全般的な改善がみられた」と述べた。ただし、「消費者は全般的な物価上昇、次いで戦争や紛争、金利上昇に気を取られている」とも指摘した。

(樫葉さくら)

(米国)

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