グジャラート州投資誘致イベント、EV生産技術でも「インドの時代到来」

(インド)

アーメダバード発

2024年01月19日

インド西部グジャラート(GJ)州で1月10~12日に開催された投資誘致イベント「第10回バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VGGS)」では、半導体・エレクトロニクス、グリーン水素、環境・リサイクル、航空、宇宙など、GJ州が連邦政府と連携して推進する最重要産業セクターについて、複数のセッションが開催された。電気自動車(EV)も重要テーマの1つとして、「2047年への充電(Charging Ahead to 2047)」と題したセミナーなどが開催された。

ブペンドラ・パテルGJ州首相は演説で、EV製造は連邦政府のナレンドラ・モディ首相が独立100年に向けて掲げるビジョン「2047年、インドは先進国へ」で大きな役割を担うと述べ、GJ州政府がいち早くEV政策を策定し、人々が容易にEVを導入できるようにエコシステムの構築に取り組んでいる姿勢を示した。具体的には、充電ステーションのネットワーク構築のため、充電インフラ整備に民間投資を含めた多額の投資を行っているほか、マンダル-ベチャラジ特別投資地域(SIR)、ドレラSIRにEV関連投資を呼び込むための環境や手続き簡素化など、各種整備に取り組んできたと説明した。州内の公共交通機関では、約500台のEVバスの調達・運行を行っていることにも言及している。自動車業界もGJ州や他州でグリーンモビリティー技術開発の研究に注力していると述べ、GJ州のEVエコシステムに積極的に参加するよう呼びかけた。

連邦政府のニティン・ジャイラム・ガドカリ道路交通・高速道路相は、国内の二酸化炭素(CO2)排出量の約40%が運輸部門由来だと指摘。化石燃料の輸入を減らし、代替技術を導入することが経済発展と公害問題解決を両立すると述べ、EVエコシステム構築の重要性を説いた。同大臣によると、インドのEV産業は12兆5,000億ルピー(約22兆5,000億円、1ルピー=約1.8円)規模で、輸出は4兆ルピー規模の有望産業となっている。2030年までにインドの年間EV販売台数は1,000万台に達し、約5,000万人の雇用を創出すると予想される。

同大臣は、GJ州のEV登録台数は17万台、2022年度のEV販売台数が前年の7倍になったことも示した。さらに、GJ州では廃車施設が効果的に機能し始めており、資源リサイクルにより生産コストが削減、最終的にはEVの価格低下につながるとの見通しを示し、早い段階でEVとガソリン車の価格はほぼ同等になる見込みだと強調した。

EVセッションに参加したインド自動車最大手マルチ・スズキの経営幹部は、EVエコシステム構築には課題が多いが、答えは見つかるとの見通しを示し、変革には技術、イノベーション、ビジネスモデルの改革が必要と指摘。同社が「インドで製造したEVを欧州や日本に輸出する」と述べ、EV技術の分野で「インドの時代が来る」と語った。トヨタ・キルロスカ・モーターの経営幹部は、特定部品や重要な要素の輸入依存を減らすため、現地化の必要があると指摘した。

(古川毅彦)

(インド)

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