米テスラ、ネバダ州のギガファクトリーでバッテリー生産設備拡大工事に着工

(米国)

サンフランシスコ発

2024年01月31日

米国電気自動車(EV)大手テスラのネバダ州のギガファクトリーにおいて、36億ドル規模の拡張工事が1月19日から始まった、と米メディアが報じた(「エレクトレック」紙1月19日)。同社と共同でバッテリー製造にかかわるパナソニックも、2024年内の同工場での生産拡張について言及した(ブルームバーグ1月14日)。この拡張計画は約1年前に発表されていたが、両社が、現在の生産を最大化することに集中していたため、拡張工事が進められてこなかった。

2023年1月24日のテスラの発表では、本ギガファクトリーへの大規模投資に関して、新たに2つの工場を増築するとしており、同社の成長に必要なバッテリーセル確保への重要な一歩となる。拡張先ではパナソニックと共同で新しいバッテリーセル生産を展開する予定で、テスラはこの新しいバッテリーセルを、車両用のバッテリーパックに使用したり、蓄電製品に使用したりする。

2つの工場のうち、1つは100ギガワット時(GWh)の生産能力を持つ4680セルバッテリー工場となる見込みで、年間150万台の軽貨物車用バッテリー生産能力を持つ(注1)。もう1つは、テスラ・セミ用のバッテリーを大量生産するための初の工場になるとのことだ(注2)

同発表では、本ギガファクトリーは当初、年間50万台のEV製造に必要な35GWhのバッテリーセル製造が可能な設備を目的として設立されたとしている。1つの設備で、2013年の全世界のバッテリー製造量よりも多く生産できる前例のない設備で、今後10年間に6,500人の正規雇用を創出する予定とも発表していた。

結果として、テスラは2014年以降、同ギガファクトリーに合計62億ドルを投資してきたことで、540万平方フィート(約50万1,700平方メートル)に及ぶ施設を建設することができた。また、37GWhの生産能力と73億個のバッテリーセル、150万個のバッテリーパック、360万個のドライブユニット、15GWh以上の生産能力と100万個のエネルギーモジュールを生産し、1万1,000人の従業員を雇用してきたとしている。

(注1)4680は、パナソニックエナジーによる新型の車載用リチウムイオン電池(直径46ミリ、長さ80ミリの円筒形電池)。従来の2170(直径21ミリ×長さ70ミリの円筒形電池)に対して体積が5.4倍以上になり、自動車1台に搭載する電池の数を減らせることで溶接個所を省略でき、製造にかかるコストを低くできる。

(注2)テスラ・セミは同社初の大型貨物用EV(2022年12月9日記事参照)。

(松井美樹)

(米国)

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