中銀、2023/2024年度下半期の金融政策を発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年01月23日

バングラデシュ中央銀行は1月17日、2023/2024年度下半期(2024年1~6月)の金融政策(Monetary Policy Statement January-Jun 2024)を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。政府は、喫緊の課題のインフレ抑制はじめ、経常収支の改善、為替(通貨タカ安)管理、適切な外貨準備高の維持、金融セクターの強化・安定化のため、緊縮財政を推し進めてきた同年度上半期(2023年7~12月)の同政策(2023年8月4日付地域・分析レポート参照)を踏襲しつつ、今後の方向性を打ち出した。

その1つがインフレ抑制を強化するための政策金利(レポレート)の引き上げだ。政府は、レポレートを現行の7.75%(2023年11月28日記事参照)から8.0%へ引き上げ、併せて、前年7月から導入している金利コリドーシステム(注)の上限金利(Standing Lending Facility:SLF)を9.75%から9.5%に引き下げ、下限(Standing Deposit Facility:SDF)は5.75%から6.5%に引き上げた。なお、「SMART(Six-months Moving Average Rate of Treasury bills)」制度に基づいて中銀が定める参考貸出金利は8.14%まで上昇している。

インフレの抑制と並び、市場原理に基づく変動相場制度を通じた外国為替レートの安定性と、外貨準備高減少の克服も、引き続き重要課題に位置付けている。この観点から、「クローリング・ペッグ(crawling peg)」システムと呼ばれる為替制度の導入を検討している。これは、中銀が定める為替レートの幅(上限と下限値)の中で、市場の需給に基づいてフレキシブルにレートが変動しつつ、その範囲を超えないよう、必要に応じて中銀が市場介入を行うことも可能とするもので、完全に市場原理に基づいた為替制度を導入する前の移行措置とされている。導入時期などは具体的には明記されていない。

中銀はぜいたく品を中心とした輸入抑制策を継続しつつ、輸入決済で信用状(L/C)開設へのモニタリング強化などを通じて、外貨流出を抑えている状況にある。また、タカ安の進行は経常赤字や物価高につながるため、同年度上半期も中銀は約56億9,000万ドルに及ぶ金融市場へのドル売り介入を行ったが、これが外貨準備高の減少に直結していることにも言及した。

加えて、今回の発表では、2023/2024年度のGDP成長率の目標値を従来の7.5%から6.5%に下方修正、消費者物価指数(CPI)上昇率は同6.0%から7.5%に上方修正した。他方、中銀は堅実に伸長する衣料品輸出や底堅い郷里送金、内需の拡大が引き続き経済成長を支えていくとの予測も示した。

(注)同システムでは、商業銀行やノンバンクが中銀から政策金利(8.0%)とSLF(9.5%)の間の金利で資金の借り入れを行い、反対に商業銀行やノンバンクが余剰資金を中銀に貸し出す際には、SDF(6.5%)の利率が適用される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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