2023年の鉱工業生産指数、前年比1.5%上昇にとどまる
(ベトナム)
ハノイ発
2024年01月18日
ベトナム統計総局によると、2023年の鉱工業生産指数(IIP、注1)は前年比1.5%上昇した。上昇率は2022年(7.4%)から大きく低下し、新型コロナウイルス禍の2021年(4.7%)、2020年(3.3%)をも下回る小幅な上昇率となった。
通年の上昇率を分野・業種別にみると、鉱業はマイナス3.9%、加工・製造業は1.6%、電力・ガスは3.5%、水道・廃棄物処理は5.8%だった(添付資料表参照)。
加工・製造業の分野を主要品目別でみると、ゴム・プラスチック製品(13.2%上昇)、タバコ製品(10.1%上昇)、化学品・化学製品(9.5%上昇)などが生産を伸ばした。しかし、24品目中の3分の1に当たる8項目が前年を下回った。その中には、主要輸出品目のコンピュータ・電子・光学製品(0.6%低下)、衣料品(1.0%低下)、木材および木材・コルク製品(1.5%低下)が含まれる。販売が低迷した自動車・トレーラー、セミトレーラー(2.4%低下)、バイクを含むその他の輸送機器(10.7%低下)なども前年を下回った。統計総局によると、国内外の需要低迷や、ベトナム製品の競争環境、財務の悪化や高金利などが製造業の生産活動に影響を与えたという。
2023年のIIPは、年後半にかけて徐々に改善した。6月までは、ほとんどの月で上昇率が前年同月比マイナスないし2%未満だったが、7月には2.3%上昇し、10月以降は4.2%以上の上昇で推移した。特に12月は上昇率が5.8%に加速している。加工・製造業の分野では、コンピュータ・電子・光学製品が8.0%上昇とプラスに回復したほか、医薬品・医薬化学品・植物製品、ゴム・プラスチック製品など6品目で10%を超える上昇率となった。
しかし、英国の調査会社IHSマークイットによると、ベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI、注2)は2月と8月を除き50を下回っており、製造業の景況感はまだ上向いていない(添付資料図参照)。景気回復を織り込める好材料に欠けるため、2024年序盤も景況感の停滞は続く可能性がある。
(注1)鉱工業生産指数は、鉱工業の生産を評価する指数で、2015年の生産量を基準(100)に算出される。
(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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