「『データ要素×』3カ年行動計画」を発表、12分野でデータの活用を推進

(中国)

北京発

2024年01月22日

中国国家データ局など17部門は1月5日、「『データ要素×』3カ年行動計画(2024~2026年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同行動計画は、データ供給の質が低い、データの流通が円滑でない、データの活用不足などの問題に対処するものだ。データと労働力や資本などの要素との連携を推進し、データ流通を通して技術、資金、人材、物資の通流を牽引し、全要素生産性を向上させる。また、多様化するデータの融合を加速することで、新産業や新モデルを生み出し、経済成長の新たな原動力とするとした。

同行動計画では、2026年末までにデータ活用を大幅に拡大し、特に波及効果が高い代表的なデータ活用事例を300以上作成するほか、イノベーション力が強く成長性があるデータベンダー(注1)と第三者サービス機関を育成することを目標に掲げた。

具体的な取り組みとして、製造、農業、商業・貿易・流通、交通輸送、金融サービス、科学技術イノベーション、文化・観光、医療・ヘルスケア、緊急対応管理、気象サービス、都市ガバナンス、グリーン・低炭素の12分野において、データの活用シーン、活用方法を明確にし、データ活用を拡大・推進するとした。

さらに、各部門・各地方が連携して重点産業・分野において、必要に応じてデータリソースの所有権やデータ加工使用権、データ製品運用権など(注2)を分離させる政策の導入を検討することで、地方の積極的なデータ活用を促し、新たな実証事例を作り出すことを奨励する。また、「データ要素×」コンテストの開催などを通じ、データリソースの供給を強化し、データの活用レベルを高めることなどが盛り込まれた。

中国の2022年のデータ生成量は8.1ゼタバイト(注3)に達し、5年連続で前年比20%以上の増加となった。世界のデータ生成量全体に占める中国の割合は10.5%で世界2位となり、試算では2021年のGDP成長に対するデータ要素の寄与率は14.7%となった(「新華社」1月9日)。

また、国家発展改革委員会と国家データ局は2023年12月23日、「共同富裕促進のためのデジタル経済実施プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。デジタル経済を強化・最適化することで、デジタルツールによる不均衡な発展を解消し、質の高い発展における共同富裕を実現することを目的に制定された。

(注1)データベンターとは、データを事業活動の主な対象として、データおよびデータ取引に関連するサービスプロバイダーを指す。

(注2)国家発展改革委員会がまとめた「データ基礎制度構築によるデータ要素のさらなる活用に関する意見」 (通称データ20条)において、データ財産権をデータリソースの所有権、データ加工使用権、データ製品運用権の3権に分離する「3権分離」の制度を確立する構想が示されている。

(注3)1ゼタバイト=10億テラバイト=1兆ギガバイト。

(張敏)

(中国)

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