インドの貧困率は11%に低下、直近9年で大幅に改善

(インド)

調査部アジア大洋州課

2024年01月22日

インド政策委員会(NITI Aayog)は1月15日、「2005年度以降のインドにおける多次元貧困(注)」と題した報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公開し、2013年度に29.17%だった貧困率が、2022年度には11.28%と、直近9年間で大幅に改善したとの推計を発表した。

同報告書では、政府の貧困削減策により、その間に約2億4,820万人が多次元貧困から救われたとされている。とりわけ、ウッタル・プラデシュ(UP)州では5,940万人、ビハール州で3,770万人、マディヤ・プラデシュ(MP)州で2,300万人、ラジャスタン州では1,870万人が多次元貧困を脱した。政府は、全国的に行った無料の食料配布プログラムなどが功を奏したとみている。

インドは、国連の定める「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、多次元貧困に関する目標については、達成期限である2030年より大幅に前倒しで達成する見通しだ。他方で、州ごとによる貧富の格差は大きい。インド準備銀行(RBI)が公表する2022年度の1人当たりGDP(実質)のデータによれば、首都ニューデリーのあるデリー準州が27万1,019ルピー(約48万円、1ルピー=約1.8円)であるのに対し、UP州は4万7,066ルピー、ビハール州で3万1,280ルピー、MP州で6万5,023ルピー、ラジャスタン州は8万6,134ルピーと、場所によっては9倍程度の差がある。また、過去10年間の推移をみても、その差はわずかながらも拡大傾向にある(添付資料図参照)。貧困率の低下だけでなく、今後、どのように格差拡大を是正していけるかが課題となる。

(注)多次元貧困とは、単なる金銭的な欠如だけでなく、健康や教育など、人々が経験しうるさまざまな形態の貧困のこと。

(深津佑野)

(インド)

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