ジェトロ、九州・沖縄地域を対象に経済安全保障セミナーを開催、関係機関からも登壇

(九州、沖縄、米国、中国)

福岡発

2024年01月22日

日本を取り巻く国際情勢が複雑化する中、ジェトロは118日、九州経済産業局、門司税関、福岡県警察本部と共催で、「経済安全保障と企業に求められる対応」と題するハイブリッドセミナーを福岡で実施した。九州・沖縄地域の事業者を対象とする本セミナーの参加登録者数は約140人に上り、当日も経済安全保障に関心を持つ企業関係者などが多数参加した。

ジェトロの小島英太郎総括審議役は冒頭、国際情勢の変化で高まる経済安全保障の重要性に言及し、「安全保障貿易管理」早わかりガイドPDFファイル(3.3MB)の公表を含む、本分野におけるジェトロの最近の取り組みを紹介した。経済産業省の湯浅諭課長補佐は、同省が202310月に公表した経済安全保障に関する産業技術基盤強化アクションプラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、その概要を説明した。また、九州経済産業局の石川円香課長補佐が、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく日本の安全保障貿易管理を紹介したほか、支援ツールとして安全保障貿易管理ガイダンス(入門編)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、相談窓口として経済産業省の中小企業等アウトリーチ事業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがあることを伝えた。

その後、門司税関の末次幸仁統括調査官は、税関の輸出事後調査について解説した。輸出事後調査とは、税関職員が輸出者の事業所を個別に訪問するなどして、関係する帳簿や書類を確認する調査のことで、末次氏は当該調査方法や不正輸出の事案を説明した。ジェトロの藪恭兵課長代理は、経済安全保障に対する日本企業の対応事例を紹介し、リソースが限られた事業者でも「リスクの高い分野から、まずはやってみることが重要」と指摘した。最後に、福岡県警察本部の光延昭彦警部が、サイバー攻撃や諜報(ちょうほう)工作を通じた技術情報などの流出事例について語り、企業がとるべき未然防止策を解説した。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

今回のセミナーでは、経済安全保障に取り組む4つの機関が、それぞれの立場からその重要性と企業がとるべき対応を紹介した。なお、ジェトロでは、米国と中国の動向を中心に経済安全保障に関する情報発信を行っており、特集ページに随時、最新の情報を掲載している。

(片岡一生)

(九州、沖縄、米国、中国)

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