中国が「ウイグル問題」に関する措置に対抗、米国の企業1社、個人2人に制裁

(中国、米国)

北京発

2024年01月05日

中国外交部は12月26日、反外国制裁法(2021年6月14日記事参照)に基づき、米国の企業1社、個人2人に制裁を科すと発表した。米国が中国の企業3社、個人2人を制裁対象としたこと(2023年12月12日記事参照)に対抗したもの。

中国による制裁の対象となったのは、米国の情報データ会社カロンと、同社の許勐(Edmund Xu)調査主任、先端国防研究センターのニコール・モーグレット元研究員。新疆ウイグル自治区に関する機微な情報を収集し、米国による不法な制裁のために「証拠」を提供したとして、2人については中国(香港・マカオを含む)への入境を禁止し、カロン社も含めて中国内の動産や不動産、その他の各種財産を凍結する。また、中国内の組織・個人がこれらの企業・個人と取引、協力することも禁じる。

外交部は米国の制裁について、いわゆる「新疆ウイグル自治区の人権問題」を口実とした重大な内政干渉であり、中国の政府関係者や企業の合法的な権益を損なうものと批判した。その上で、米国はいわゆる「ウイグル強制労働防止法」などの誤った法律を停止すべきとした。

反外国制裁法に基づき、近年では2022年12月に余茂春氏(米国のマイク・ポンペオ前国務長官の中国問題顧問)、トッド・スタイン氏(米国議会中国委員会事務局副主任)(2022年12月28日記事参照)、2023年4月にハドソン研究所とレーガン図書館とその関係者、マイケル・マコール下院議員などの米国の組織・個人に制裁を科している(注)。

(注)中国外交部ウェブサイトの情報公開ページには、「反制裁リストと措置」としてこの3件が掲載されている。

(河野円洋)

(中国、米国)

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