欧州物流貨物協会、紅海情勢による物流網混乱を懸念、海運企業に慎重さ求める
(EU、世界)
ブリュッセル発
2024年01月18日
欧州物流貨物協会(CLECAT)は1月12日、イエメンの武装組織フーシ派の攻撃を受けて、主要な海運企業が紅海航路を回避する動きが拡大していること(2024年1月10日記事参照)について声明を発表した(プレスリリース)。スエズ運河から南アフリカ共和国の喜望峰回りへのルート変更に伴う追加コストは、アジア~欧州間の輸送運賃の高騰を引き起こし、貨物輸送は今後数週間でさらに困難になるとした。船員や船舶、貨物の安全のためのあらゆる手段が必要と指摘した。他方、海運企業に対し、追加コストや運賃の値上げはフーシ派の攻撃という例外的な事態に影響を受ける航路にのみ適用するよう要請。グローバルサプライチェーンの効率性維持や混乱回避のためには、こうした慎重な対応が重要だとした。
英国コンサルタント会社MDSトランスモーダルによると、スエズ運河ルートを引き続き通るのはフランス海運大手CMA CGMと一部の小規模事業者のみで、2023年12月18日~2024年1月7日にスエズ運河を通過したコンテナ量は前年同期比60%減となった。喜望峰ルートに変更する船舶は今後も増加するとみられる。アジアから欧州に向かう船舶到着に遅れが生じており、北欧の港の混雑増加や、輸出に必要な設備不足といった運航上の困難を引き起こす可能性があるとした。運賃上昇は2月10日の春節(旧正月)まで継続する可能性にも言及した。アジア発の船舶については、春節まで既に予約は埋まっており、一部の海運事業者は2月末まで空きがない状況という。
オランダING銀行のシニア・セクター・エコノミスト、リコ・ルーマン氏の1月11日付分析によると、コンテナ輸送運賃の上昇は特にアジア~欧州間で顕著だ。例えば、上海~ロッテルダム(オランダ)間の標準的な40フィートコンテナ輸送のスポット運賃は12月初旬から1月11日までの期間、1,170ドルから4,400ドルに上昇したという。
(滝澤祥子)
(EU、世界)
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