米商務省、先端半導体向け輸出管理規則のFAQ発表

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年01月17日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は12月29日、中国向け半導体関連の輸出管理規則を一部改定する暫定最終規則(IFR)に関するFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。同IFR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2023年10月に発表され、(1)半導体製造装置関連のIFR(SME)と、(2)特定の先端コンピューティング製品関連のIFR(AC/S)の大きく2つに分かれている(2023年10月18日記事参照)。FAQは、これらIFRに対して寄せられた質問に対するBISのコメントとなっている。

FAQは、(1)一般、(2)IFR(AC/S)の輸出管理分類番号(ECCN)3A090に関する性能パラメーターの改正、(3)特定の先端コンピューティング(NAC)に対する許可例外、(4)スーパーコンピュータ、先端集積回路、半導体製造装置の最終用途(エンドユース)規制、(5)米国人(注1)の活動に対する規制、(6)地域安定(RS)規制とECCNの「.z」項(注2)の6つに大きく分かれている。

米法律事務所のケリー・ドライ・ウォーレン(Kelley Drye & Warren)は1月11日、今回のFAQの解説を発表した。その中で特に注目すべき点として、NAC許可例外に対する25日間のBISの審査がNACの対象となるか否かのパラメーターだけでなく、品目の種類や数量、エンドユーザー、エンドユースを含む多くの要因に基づいて、安全保障上の懸念を審査する点を挙げている(FAQのIII.Q8)。同事務所は、これによって審査対象の先端コンピューティングがNACの適格性要件に規定されたパラメーターを満たしている場合でも、安全保障上の懸念が生じた場合には許可申請が必要となる可能性を指摘している。

そのほか、同事務所が挙げたFAQで注目すべき点は次のとおり。

  • NAC許可例外は、ECCN4A090.a.に列挙していない4A090の品目にも適用される(III.Q2)
  • BISのオンラインポータルのSNAP-Rを通じて提出される、NAC申請に必要な情報のリスト(III.Q3)
  • 性能パラメーターの計算、測定に関する技術ガイダンス(II.Q1)
  • ECCNの「.z項」に該当する品目は、自動輸出システム(AES)を通じて電子輸出情報(EEI)を提出する必要があり、これには2,500ドル未満の取引も含まれる(VI.Q1)
  • NAC許可例外の下で認められた「.z項」の品目は、場合によっては、輸出管理規則の他の要件(例えば、暗号規制に該当する許可例外のENC)を満たす必要がある(III.Q12)
  • 「米国人」の活動に関する特定の半導体関連輸出規制が適用されないケースは、米国または他の同盟国の事業体に雇用されるか、またはその事業体のために働く自然人の米国人に限定される。つまり、事業体には適用されない(V.Q2.)

同IFSに関するパブリックコメントは、1月17日をもって締め切られる。

(注1)中国向け半導体関連の輸出管理規則では、規則指定の基準に該当する半導体を製造する在中国の施設での開発または生産のために、米国人が製品の輸送を承認、実行、それら製品のメンテナンス、修理、点検、改装などに従事する場合、許可申請が必要となる。

(注2)IFR(AC/S)では、BISが定める性能パラメーターを満たす、または超える品目を補足するため、既存のECCNに「.z項」を新たに設けた。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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