タミル・ナドゥ州、日本の地方自治体と連携強化

(インド、高知、大阪、広島)

チェンナイ発

2024年01月16日

インドのタミル・ナドゥ(TN)州で1月7~8日に開催された投資誘致イベント「グローバル・インベスターズ・ミート(GIM)」において、TN州は高知県、大阪府、広島県からの代表団を受け入れた。今後、日本の地方自治体との連携を強化していく方針だ。

高知県は、濵田省司知事を団長とした代表団を派遣し、TN州と協力の覚書を締結した。今後、相互の投資、研究開発、サプライチェーンの強化に加えて人材交流について連携する。覚書締結の後に開催したセミナーのセッションでは、高知丸高および技研製作所が両社の持つ土木技術を紹介し、高知県企業とその技術をアピールした。

大阪府は、吉村洋文知事のM・K・スターリン州首相宛ての親書を一坂浩史国際交流監が携行し、T・R・Bラジャア州工業相に手交。今後の連携強化を呼びかけた。

広島県は、両県に先行して2023年11月にTN州と覚書を更新していた(2023年12月6日記事参照)。今回は、同覚書に基づく最初の活動としてGIMのジャパンパビリオン(日本館)に出展し、広島県および同県企業の紹介を行った。

覚書締結の発表であいさつに立ったラジャア州工業相は、日本とTN州の交流は数百年の歴史があることや年上を敬う文化など共通点があると述べ、日本とTN州の親和性を強調した。その上で、ビジネス面でTN州の人材はインドで最も有能かつ人数が多いこと、転職数が少なく日本と似た職業倫理感を持つと指摘。TN州の日本人駐在員が、子女の通学の安全に「何の心配もしていない」と述べたことを引用し、安全なビジネス環境であると投資先としての魅力を訴えた。

今回の日本の地方自治体とTN州連携における特徴には、日本国内の人手不足から、人材交流を加えていることがある。インドは公用語として英語を話すことで海外での就労にも強みを持つ。多くの労働人口を有するTN州では雇用確保も重要課題だが、工科系大学が集積し、技術分野の人材が豊富であることも特徴の1つだ。ラジャア州工業相は、TN州の有能な人材の海外での就労についても歓迎すると表明した。

写真 地方自治体代表団とラジャア州工業相(左から3人目)など(ジェトロ撮影)

地方自治体代表団とラジャア州工業相(左から3人目)など(ジェトロ撮影)

(白石薫)

(インド、高知、大阪、広島)

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