ジェトロ、サプライチェーン構築などに関するセミナー開催

(中国)

青島発

2024年01月25日

ジェトロは1月19日、中国の青島日本人会・商工会と共催で、リドラ法律事務所の章啓龍代表弁護士を講師に、最近の法務関連ホットトピックスと日系企業から寄せられる相談内容の事例紹介と題したセミナーを開催した。約40人の進出日系企業関係者が参加した。

本セミナーを開催した背景として、青島市をはじめ山東省は製造業が集中するエリアで、安定したサプライチェーンの構築が日系企業の事業運営における重要なポイントの1つとなっており、サプライヤー側の経営管理体制の影響により、供給が突如止まってしまうケースも見受けられる。また、サプライヤーを通じた情報漏えいにより模倣品が氾濫し、正規品の流通を妨げる問題も発生している。

セミナーでは、章弁護士よりサプライチェーン構築をめぐる相談事項とトラブル事例を中心に紹介があり、中国土地制度の基本や立ち退き時の対応をめぐる相談事項、個人情報の越境をめぐる最近の動向と対応の現状についても説明された。

章弁護士は、まず、自社にとって重要なサプライヤーに対しては、(1)管理能力、(2)技術能力、(3)資金力、(4)品質管理能力、(5)製造能力、(6)購買戦略(法令順守など)、(7)CSR(労働管理など)などの面から総合的に評価することが重要だと指摘した。そして、サプライヤーに関する情報を入手するための手段の例として、(1)会社や重要製造拠点への訪問、(2)専門ウェブサイト(裁判所の出した判決文や企業登記情報など)、(3)調査会社、(4)社内部門(技術支援部隊など)、(5)監査(取引契約における監査実施の権利の明記)、(6)書類取得(監査報告書や通関書類など)、(7)ISO規格などの認証の確認、(8)ヒアリングシートによる調査を挙げた。

章弁護士は、仕入先に対する持続的な監視・監査・調査を、社内の購買担当者、法務・財務関係者の重要な業務内容として位置づけ、人事評価や就業規則における罰則規定とも連動させる必要があるとも指摘した。その上で、異常事態発見後の迅速な対応を実現するには、部門間の情報共有や経営陣との密な「報連相」、確実に機能するガバナンス体制の構築も必要不可欠との見解を示した。また、購買担当者のみならず、倉庫管理・品質管理・財務なども含めて、社内の内部統制と不正対応体制の健全化もサプライヤー管理の重要な一環だと述べた。

(赤澤陽平)

(中国)

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