AIDCとPTT、コーヒー栽培からのカーボンクレジット取得を模索

(ラオス)

ビエンチャン発

2024年01月16日

ラオス民間大手企業アジア・インベストメント・デベロップメント・アンド・コンストラクション(AIDC)(注1)は1月5日、タイの大手企業であるタイ石油公社グループ(PTTグループ)との間で、ラオスにおけるアグロフォレストリー・コーヒー・プランテーションの開発に関する協力覚書を締結した。

AIDCは、ラオス南部チャムパサック県パクソン郡に位置する標高1,200メートルのボラベン高原で、356ヘクタールのコーヒー栽培と加工を行っている。また、PTTグループは、中核のエネルギー関連事業のほかに、コーヒーフランチャイズ店「カフェ・アマゾン」をタイを中心に4,000店舗以上(うちラオスには89店舗)展開している。本覚書をもとに今後、PTTグループ傘下のPTTラオスが同社の基準で生豆をAIDCから調達する計画という。さらに、企業のカーボンニュートラルの目標の実現とコーヒーの付加価値を高めるために、コーヒー栽培からのカーボンクレジット取得を目指すとしている。また、ボラベン高原では約4万8,000ヘクタールの土地でコーヒー栽培が行われており、将来的にはこれらのコーヒー農家とのカーボンクレジット取引も進めるとしている。

コーヒー農園からのカーボンクレジット取得についての方法論は、世界的に研究段階にある。コーヒーの木は直射日光を嫌うため、マメ科の木やカシューナッツの木など日陰樹を植林し、その下で行われるアグロフォレストリー型の栽培方法がとられるのが一般的で、この日陰樹が吸収する炭素量を評価する手法が検討されている。また、コーヒー業界では昨今、サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの動きが進んでおり、コーヒー豆の生産から輸送、加工に至る全工程で排出する温室効果ガス(GHG)の正味の排出量をゼロにする目標の中で、信頼できるカーボンクレジットの活用も模索されている。

なお、AIDCはラオスで、100万ヘクタール規模の国立公園を対象にREDD+(注2)の取り組みも行っている(2023年12月21日付地域・分析レポート参照)。

(注1)AIDCについては、LAOS100 ラオスの有力ビジネスパーソン100人(前編)PDFファイル(25.4MB)PDFファイル(25.4MB)の7ページ参照。

(注2)REDD+とは、発展途上国の森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などによって、GHG排出量を削減あるいは吸収量を増大させる努力に、成果ベースの支払いというかたちでインセンティブを与える国際的な気候変動対策。

(山田健一郎)

(ラオス)

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