11月後半~12月の経済活動は控えめに増加、自動車生産台数はUAWストライキ前の水準に回復、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2024年01月19日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が1月17日に公表した地区連銀経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、11月後半から12月にかけての同地域の経済活動について、全体的に控えめに(modestly)増加したと報告した。関係者は、今後1年間の消費需要は小幅に減少すると予想している。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は緩やかに(moderately)増加し、関係者は今後1年間も同程度の増加率を予想している。製造業においては引き続き労働者確保が困難との報告がある一方、建設、不動産、金融の関係者からは人員削減の報告があった。

個人消費は報告期間中、全体的にわずかに(slightly)増加した。自動車以外の小売売上高はわずかに増加した。担当者によると、年末商戦の売上高は2022年の水準を若干上回るという予想に近いものだった。

企業支出は全体的に横ばい(flat overall)となった。設備投資はわずかに増加し、コンピュータ、ソフトウェア、新車への投資が数社から報告された。一方、トラック輸送サービスの需要は若干減少した。

製造業の需要は全体的に控えめに(modestly)減少した。鉄鋼の受注は控えめに減少し、自動車部門向けの販売の減少を報告した企業もあった。自動車生産台数は、全米自動車労働組合(UAW)によるストライキ前の水準に戻った。大型トラックの需要は、貨物市況の低迷と大手運送会社の倒産を背景に引き続き低水準となった。

同地区での2023年の農業所得は、予想以上の収穫量に支えられ、平均を上回った(above average)。しかし、2024年の農家所得は、多くの品目で価格が損益分岐点を下回る水準で年明けを迎えたため、期待値が低下した。

地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、経済活動が控えめに増加した(modest increase)と報告した。労働支援機関からは、労働市場の逼迫が続いているため、通常よりも容易に仕事を見つけることができるという声が聞かれた。経済開発機関の担当者は、それぞれの地域でいくつかの新規プロジェクトが承認されたと報告した。一方、州政府関係者からは税収が若干減少しているという報告もあった。

個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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