GJ州、グリーン水素製造ハブ構築などに5年間で2兆ルピー割り当て

(インド)

アーメダバード発

2024年01月16日

インド西部グジャラート(GJ)州で1月10~12日に開催された投資誘致イベント「第10回バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VGGS)」のうち、最終日に行われた「グジャラート:インドのグリーン水素の目的地」と題されたセッションで、ブペンドラ・パテルGJ州首相は、グリーン水素を含む「グリーン成長」分野に、今後5年間で2兆ルピー(約3兆6,000億円、1ルピー=約1.8円)の予算を割り当て、代替エネルギー開発を後押しすると宣言した。

同セッションにおいて、パテルGJ州首相は代替エネルギーの重要性を強調し、エネルギー安全保障、クリーンエネルギー、温室効果ガスの排出ネットゼロの達成という目標に同時に取り組むため、ナレンドラ・モディ首相の指導の下、同州がインドのグリーン水素製造ハブになる用意があると述べた。州政府として、グリーン水素関連産業を対象とする特別な用地政策を策定しており、州西部カッチと北部バナスカンタにある20万ヘクタールの土地をグリーン水素製造のために提供すると発表した。モディ首相が提唱する「クリーンで持続可能なエネルギーによるグリーン成長」ビジョンに寄り添い、GJ州はインドの将来のグリーンエネルギー需要に貢献していくと述べた。

また、カヌバイ・デサイGJ州エネルギー相は、広大な海岸線、水路、戦略的立地など、再生可能エネルギー関連産業の進出先としての同州の優位性を強調し、州政府が必要不可欠な関連施設を提供すると約束した。

同セッションには、インド政策委員会(NITI Aayog)、連邦政府の新・再生可能エネルギー省、GJ州エネルギー・石油化学省、アジア開発銀行(ADB)、スイスの非営利基金であるグリーン水素機関、GJ州電力公社の幹部らが参加した。

モディ首相のビジョンでは、2030年までにインド国内での年産500万トンのグリーン水素生産が目標であり、GJ州はこのうち年産300万トンに対応する計画で、最大の貢献州として期待されていることも示された。GJ州で進行するグリーン水素製造ハブ構築のためのインフラ整備状況が紹介され、同州への投資も呼び掛けられた。また、アジア開発銀行のグリーン水素分野におけるGJ州への支援が紹介され、GJ州がインドのグリーン水素生産拠点となる可能性について、電解槽コスト削減や効率の向上の必要性、適正価格のレンジなど、さまざまな角度から考察が行われた。

また同セッションにおいては、米国カリフォルニア大学バークレー校とGJ州政府、GJ州石油公社(GSPC)と国際金融特区GIFTシティー、インド国営火力発電公社(NTPC)とGSPC、GSPCとGJ州電力公社(GPCL)の間で覚書が調印された。

(古川毅彦)

(インド)

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