インターネット取引法(ITA)が施行、電子商取引業界の改善に期待

(フィリピン)

マニラ発

2024年01月11日

フィリピンで、「インターネット取引法(Internet Transactions Act:ITA)」(共和国法第11967号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が発効した(注)。ITAは、デジタル経済化による成長促進を掲げる政府の方針が反映されたもので、オンライン上での事業者と消費者の信頼醸成による健全な電子商取引(EC)環境の振興・維持を目的としている。フィリピンでは、公正取引執行局(FTEB)が2022年に受けた苦情のうち、44%にあたる1万2,170件がオンライン取引関連だったことから成立が急がれていた。政府は今後、消費者の権利や個人情報の保護、競争の促進、安心できるインターネット取引の環境整備など、電子商取引に関する効果的な規制を構築していく方針だ。

アルフレド・パスクアル貿易産業相は2023年12月7日の会見で、「ITAにはフィリピンのEC業界の改善とともに、質の高い雇用の創出を期待している」「本法律に基づき規制の枠組みが定められ、またDTI(貿易産業省)にその規制の権限が与えられることにより、オンライン上の不公正な取引から消費者を保護することができる」と説明した。

さらにITAでは、DTIの傘下に新たに設置された電子商取引局を通じて、政府および消費者がアクセス可能なオンライン販売企業情報のデータベース作成を義務付けている。また、DTIの規制管轄権も定められており、DTIは違反者に対し、コンプライアンス順守命令や召喚令状およびウェブサイトの削除命令の発令が可能で、オンライン企業のブラックリスト作成の権限も持つ。また、同法では、オンライン販売業者、ECマーケットプレイス、デジタルプラットフォームの責任も定められており、違反者には罰則が科される。

地元紙によれば、ザローラ(Zalora)、ラザダ(Lazada)、フードパンダ(Foodpanda)、ショッピー(Shopee)などフィリピンで運営されている大手オンライン企業やデジタルプラットフォーム企業をはじめ、多くのフィリピン企業、業界団体、研究機関などが本法律の支持を表明している。

(注)本法律は、フェルディナンド・マルコス大統領が2023年12月5日に署名している。また、同法第38条に「この法律は官報または新聞での報道から15日後に発効する」と明記されている。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン)

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