バイデン米大統領、EV充電器のバイ・アメリカ適用免除取り下げに関する両院決議案に拒否権を発動

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月25日

米国のジョー・バイデン大統領は1月24日、2023年2月21日に連邦道路局(FHWA)が制定した、「EV用充電器に関するバイ・アメリカ要件の免除規制」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、免除規制)を取り下げる両院共同決議案(S.J.RES.38PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))に対し、大統領拒否権を発動すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2024年1月19日記事参照)。同決議案は、共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)が2023年7月に提案したもので、11月8日に上院、1月11日に下院で可決していた。

バイデン大統領は声明の中で、同決議案が成立すれば、工業製品に対しFHWAが認める一般免除が適用され、超党派のインフラ投資雇用法(IIJA)からの75億ドルを含む連邦資金が中国などの競合国で製造された電気自動車(EV)充電器に費やされることが可能になる、と拒否権発動の理由を述べた。また、同決議案の成立で、連邦資金が提供されているEV充電器の全国ネットワークを米国内で製造することを保証する取り組みが台なしになり、民間部門が国内のEV充電器製造に既に投資してきた何億ドルもが損なわれ、この重要な市場への国内投資がさらに冷え込むことになる、とも加えた。免除規制は、EV充電器を一時的に一般免除の対象から外し、新たに免除期間を定めることで、段階的な適用免除の廃止を念頭に入れている。

全米鉄鋼労働組合は「この決議案は国内製品の段階的導入に悪影響を及ぼし、将来的に運輸省が厳密に作成したバイ・アメリカ規則を策定することを妨げるもの」であり、大統領拒否権が「バイ・アメリカ政策を守った」と述べている(政治専門誌「ポリティコ」2024年1月24日)。議会資料によると、バイデン大統領はこれまで9件で拒否権を発動しており、今回が10件目となるもようだ。

(大原典子)

(米国)

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