2023年の新車販売台数は26.5%減、国内経済の減速が影響

(チリ)

サンティアゴ発

2024年01月26日

チリ全国自動車産業協会(ANAC)によると、2023年の新車販売台数(バスなど大型車を除く)は前年比26.5%減の31万3,865台だった(添付資料図参照)。ANACは販売台数が減少した要因として、主に国内経済の減速を挙げている。

新車販売台数をブランド別にみると、トップ5はトヨタ(シェア:8.3%)、シボレー(6.8%)、現代(6.6%)、起亜(5.8%)、スズキ(5.6%)の順だった(添付資料表1参照)。トップ15の中で前年比増だったのは、フォードとマツダのみで、マツダはSUV(スポーツ用多目的車)の「ALL NEW MAZDA CX-5」(4,169台)の販売が好調で、SUVの中ではシボレーの「GROOVE」(6,009台)、MGの「MG ZS」(4,427台)に続く3位の販売モデルだった。トヨタは前年比21.8%減だったが、ANACのデータが確認できる2008年からの16年間で初めてブランド別販売台数で首位となった。

タイプ別にみると、乗用車は前年比36.7%減の6万6,630台だった(添付資料表2参照)。スズキは乗用車販売台数の22.8%を占め、「SWIFT」や「BALENO HB」などのモデルが多く販売された。SUVは24.2%減となる14万3,696台で新車販売全体の45.8%を占めた。ピックアップ、商用車も前年比減となった。ピックアップでは、トヨタの「HILUX」が9,100台とモデル販売トップになり、三菱自動車の「L-200」(7,923台)、マクサスの「T60」(7,280台)が後に続いた。

ANACは、2024年の新車販売台数について、世界経済の停滞、国内経済の伸び悩み、国内要因の不確実性を考慮に入れて、32万~34万台と予想している。加えて、世界的なインフレは2024年に正常化へ向かうものの、ロシアのウクライナ侵攻や中東での紛争は引き続き世界のサプライチェーンに圧力をかけ、海上運賃が変動しやすい状況にあり、自動車などの輸入製品に影響を与える可能性があると分析した。加えて、ドル高と中国経済の弱体化に加えて、国内で議論が進む年金制度改革、税制改革などの社会的・政治的な要因が、チリ国内の自動車販売台数に影響を与える可能性も指摘している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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