チェコ政府、戦略的投資誘致向け立地の選定・開発を行う国有企業の設立を決定

(チェコ)

プラハ発

2024年01月30日

チェコ政府は1月24日、国家投資・開発会社の設立を決定した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。政府は、新会社が戦略的投資案件を受け入れる立地の選定と開発に加え、地域や自治体との調整も担うことで、付加価値の高い投資の誘致におけるチェコの競争力を大幅に向上させることを目指す。

チェコの投資促進機関であるビジネス投資・開発庁(チェコインベスト)は国家投資・開発会社と緊密に協力し、新会社が開発した用地のPRを行う。

ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相は、付加価値の高い戦略的投資として「デジタル技術、電動モビリティ、半導体製造、持続可能なエネルギー源など」を挙げ、「こうした戦略的投資の実現は、現在のところ残念ながらチェコ国内においては最小限にとどまっている」と述べた(注)。

また、製造業向けに整備された適切な用地の存在が、外国人投資家の意思決定において重要な役割を果たすが、「そのような用地はチェコ国内に存在しない。このことがチェコの外国人投資家を誘致する上で、近隣諸国と比べて不利な条件となっている」と同相は指摘している。

産業貿易省によると、チェコでは面積が広い用地の整備が進んでいないなどの理由で、現在提供し得る用地は最大でも40ヘクタール前後にとどまっている。新会社は、十分な面積を有すること、所有権が統一されていること、インフラが整備されていることなどの条件を満たし、戦略的投資を受け入れることができる用地を整備する。

用地について、スィーケラ産業貿易相は「特にウースチー地方(北西部)、モラビア=シレジア地方(北東部)、カルロビ・バリ地方(西部)など、炭鉱産業の縮小の影響を受けた地域には1カ所ずつ整備する」方針を示した。

(注)政府は2023年11月に、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のギガファクトリー誘致を断念したことを発表している(2023年11月9日記事参照)。

(中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 49f39c0d7f616a13