タタ自動車がGJ州サナンドIIで新工場稼働、EV生産視野に

(インド)

アーメダバード発

2024年01月26日

インドの自動車大手タタ・モーターズの子会社で、電気自動車(EV)製造が主軸のタタ・パッセンジャー・エレクトリック・モビリティー(TPEM)は1月12日、西部グジャラート(GJ)州サナンドII工業団地の新工場で、乗用車の生産を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。タタ・モーターズにとって、内燃機関(ICE)モデルとEVモデルを製造するGJ州で2番目の工場となる。

同工場は、撤退した米国系フォード・インディアの旧工場を2023年1月に買収したもの。460エーカー(約186万2,000平方メートル)の敷地に、プレス、溶接、塗装、最終組み立ての主要工程を備え、同社は「世界水準の高度な自動化と最新設備」を導入して新たに稼働したと説明する。サプライヤーの調達ネットワークにも、アクセスが可能としている。

TPEMと乗用車部門タタ・モーターズ・パッセンジャー・ビークルの社長を兼任するシャイレッシュ・チャンドラ氏は、12カ月の短期間で工場を再整備したといい、新工場がタタ・モーターズ、特にTPEMの今後の計画に極めて重要な役割を果たすものだと述べた。タタは、1モデルで複数のパワートレインを選べる「ニュー・フォーエバー」のラインアップ車種の営業と、EVへの投資計画に注力している。同社の生産能力は飽和しつつあったが、新工場により年産能力30万台が加わり、42万台までの拡張が可能だ。同工場は1,000人以上の従業員(スタッフ、技術者を含む)を抱えており、生産増強計画に従い今後3~4カ月に、サナンド周辺地域で1,000人の追加雇用を創出する予定だ。

地元メディアによると、チャンドラ社長は、今後、新工場ではネクソン、ハリアーなどのEVモデルや、新たな次期モデルの生産が順次開始される計画だと明らかにしている。また、マハーラーシュトラ州やGJ州などのインセンティブによりEVの販売台数が増加したとし、連邦政府の2024年度予算案で既存のEV普及策であるFAMEスキームによる自家用車のインセンティブを拡大すれば、国内のEV化普及が加速するとの見解を示した(「アーメダバード・ミラー」1月24日)。

一方、ハイブリッド車への課税率を巡っては、現行43%と高い水準であり、トヨタ自動車がインド政府に対して税率の適正・合理化を求めている。これに対しタタ、地場マヒンドラ&マヒンドラ、韓国の現代自動車などは、既にハイブリッド車はガソリン車の48%よりは低い税率であり、環境負荷も大きいとして反対している。また、タタは、輸入EVへの税率低減を要請する米EV大手テスラの動きにも反発しているとされる。インド政府による2月1日の2024年度予算案の提出を前に、EV業界によるロビー活動が活発化しているもようだ(「タイムス・オブ・インディア」1月17日)。

(古川毅彦)

(インド)

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