中国、台湾への武器売却など理由に、米企業5社に制裁

(中国、米国)

北京発

2024年01月15日

中国外交部は1月7日、反外国制裁法(2021年6月14日記事参照)に基づき、米国のBAEシステムズ・ランド・アンド・アーマメンツ、アライアント・テックシステムズ・オペレーションズ、エアロバイロンメント、ビアサット、データリンク・ソリューションズの5社に制裁を実施とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。中国内の動産・不動産・その他の各種財産を凍結し、国内の組織・個人と取引・協力などの活動を行うことを禁じる。外交部のウェブサイトで記者の質問に答えるかたちで発表した。

外交部は制裁の理由として、米国が「一つの中国」原則と、3つの共同コミュニケ(注)に違反し、台湾に武器を輸出し、各種の口実をでっちあげ、中国企業・個人に不法な一方的制裁を科し、中国の主権と安全の利益を害し、台湾海峡の平和と安定を破壊し、中国企業と個人の合法的な権益を損なったことを挙げた。米国政府は12月15日、台湾への指揮・統制・通信・コンピュータ(C4)ライフサイクル支援と関連装備売却を承認し、議会に通知したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

中国は米国による台湾への武器売却に対し、直近では2023年2月16日に「信頼できないエンティティー・リスト」に米国のロッキード・マーティンとレイセオン・ミサイルズ・アンド・ディフェンスを掲載(2023年2月20日記事参照)するとしたほか、9月15日には反外国制裁法に基づき、ロッキード・マーティンとノースロップ・グラマンに制裁を実施すると発表している。

1月7日付の「環球時報」は「米国が台湾への武器売却を止めたくないのは、台湾海峡に干渉する手段を放棄したくないからだ」と非難した。その上で、台湾は武器を購入する資金を人々の生活改善に使用すべきだとした。

9日付の「中国網」は、米国が台湾の総統選挙の1カ月前に武器売却を決定したことは、選挙に介入するもので、「台湾独立」勢力を支えようと企んでいることは誰の目にも明らかだとした。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。今回はその中でも特に、台湾への武器売却に関する内容を含む1982年のコミュニケ(817共同コミュニケ)に違反したとしている。

(河野円洋)

(中国、米国)

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