イスラエル政府、2024年予算の修正案を承認

(イスラエル)

テルアビブ発

2024年01月17日

イスラエルの戦争内閣は1月15日、2024年予算の修正案を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。予算規模は約5,820億シェケル(約22兆6,980億円、1シェケル=約39円)で、当初予算に比べ680億シェケル増加した。イスラエルの国会に相当するクネセトは2023年5月に、2023年と2024年予算案を可決している(2023年5月25日記事参照)。修正予算案では、2024年の財政赤字のGDP比は約6.6%になると予測している。

修正予算案の承認を受けて、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は談話を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「(この修正予算案は)予備役とその家族、自営業者、政府省庁、国民のニーズにも配慮した戦争予算だ。保健予算を増額し、メンタルヘルスのために10億シェケルを追加する。また、教育、社会福祉、治安予算を増額するが、第1に安全保障予算を増やすことに配慮している」と述べた。

イノベーション庁、新興企業への投資刺激策を公表

イスラエル・イノベーション庁(IIA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、修正予算案にはイスラエルのハイテク・エコシステムへの投資促進を目的とした刺激策が含まれているという。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(1月15日)によると、政府は2024年のIIAの予算を9億4,000万シェケル増額するとしている。

IIAは幾つかの重要なイニシアチブの1つとして、イスラエルの機関投資家がイスラエルのベンチャー・キャピタル・ファンドに投資することを奨励するため、新たな投資ファンド(「ヨズマ・ファンド」)を設立するとしている。機関投資家の1シェケルの出資に対して政府が0.3シェケルを拠出するスキームで、5年間で40億シェケル以上の共同出資が見込まれ、政府の拠出額は8億シェケルを超えるとみられる。

IIAはさらに、民間投資家と協力して、資本へのアクセスが限られている新興企業のプレシード、シード、シリーズAラウンドに、年間5億シェケル以上を投入する新興企業ファンドを設立するとしている。

IIAはイスラエルのハイテク・エコシステムの現状として、(1)新規に開業する新興企業数が減少し続けている、(2)ソフトウエア企業への投資が集中し、ディープテック(最先端技術)領域への投資が減少し続けている、(3)イスラエル企業の国外での登記率が上昇していることを挙げている。さらに、投資に関する課題として、(1)ベンチャーキャピタル投資の減少、(2)イスラエルのベンチャーキャピタルの約8割を占める外国資本への依存を指摘している。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(アンナ・ジュコブ、中溝丘)

(イスラエル)

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