インド発の生成AIスタートアップのクルトリムがユニコーン入り

(インド)

ニューデリー発

2024年01月30日

インド発の生成人工知能(AI)スタートアップであるクルトリム・SI・デザインズ(以下、クルトリム)の共同創業者バビシュ・アガルワル氏は1月26日、米国系ベンチャーキャピタルのマトリックス・パートナーズ・インディアなどから5,000万ドルの資金調達を完了したと発表した。これにより、クルトリムの企業価値は10億ドルを超え、2024年の新規インド発ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)第1号となった。同社は、インドのAI開発企業としても初のユニコーンと説明している。

サンスクリット語で「人工的な」を意味するクルトリムは、2023年4月にインド南部ベンガルールで創業したスタートアップだ。クルトリムは2023年12月、インドの22言語から情報を習得することができ、10言語で文章を生成できる独自の大規模言語モデル(LLM)を独自に開発したと発表していた(「エコノミック・タイムズ」1月27日)。なお、共同創業者のアガルワル氏は、これまでに配車サービスアプリ「オラ(Ola)」を提供するANIテクノロジーズと、電動二輪車を生産するオラ・エレクトリックを創設しており、いずれもユニコーン入りを果たしている。

インドの大手テックメディアプラットフォームであるInc42のレポート(2023年10月発行)によれば、2019年以降、生成型AIの技術開発を行うインド発スタートアップは70社以上誕生している。しかし、米国オープンAIの生成AIサービス「ChatGPT」などが世界的に大きな注目を集める中、同分野においてインドは大きな存在感を示せていないのが実態だ(「テッククランチ」2023年5月3日)。インド電子・情報技術省(MeitY)が2023年4月5日、生成AIの技術分野で法規制を導入する考えがないことを下院で明らかにしたのは、同分野の国内開発を促進させたい意図もあるとみられている。

インドでは新型コロナ禍において、国内外から大型資金調達に成功するスタートアップが急増し、2021年に44社、2022年に21社のユニコーンが誕生した。他方、世界的な景気停滞を受けた2023年には、新たにユニコーン入りを果たすインド発スタートアップは2社にとどまっている(ベンチャー・インテリジェンス、2024年1月28日時点)。

(広木拓)

(インド)

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