2023年の外国企業の直接投資額は前年比24%増、日系LNG発電所が最大案件

(ベトナム)

ハノイ発

2024年01月26日

ベトナム外国投資庁によると、2023年1~12月の対内直接投資(認可ベース、12月20日時点の速報値、出資・株式取得を除く)は、新規・拡張の合計で4,450件(前年比41.6%増)、認可額は280億6,639万ドル(24.4%増)だった。中国、香港、台湾の投資は、件数・金額とも前年比2倍前後だった。

業種別にみると、件数、認可額ともに1位の製造業は、1,766件(前年比52.9%増)、219億6,688万ドル(44.6%増)だった(添付資料表1参照)。中国、台湾、韓国の電子機器・モジュール製造の案件などが認可額で上位を占めた。製造業で最大の案件は、中国ジンコソーラーの香港子会社出資による北部クアンニン省テクスホン・ハイハ工業団地での太陽電池・パネルなどの製造案件(15億ドル、10月認可)だった。ジンコソーラーは、既に同省のアマタシティー・ハロン工業団地(ソンコアイ工業団地)にも投資額7億5,000万ドル以上の太陽電池製造拠点(2021年認可)を設け、2023年10月に生産を開始している。

認可額の2位はインフラで22億7,074万ドル(前年比4.6%増)、3位は不動産で15億1,039万ドル(47.5%減)だった。件数の2位は小売り・卸売りなどで1,147件(50.5%増)、3位はコンサルなどで506件(15.8%増)となった。

国・地域別の認可額は、シンガポールが46億201万ドル(前年比0.4%減)で首位だった(添付資料表2参照)。2位は香港で45億5,212万ドル(2.2倍)、3位は中国で43億1,075ドル(82.7%増)、4位は韓国で40億13万ドル(1.6%増)となった。日本は5位で36億2,351万ドル(20.5%減)だった。ただし、出資・株式取得を含めた認可額では、日本は2位となる。

件数は、中国が886件(2.2倍)で首位だった。2位の韓国が799件(2.8%増)、シンガポールが563件(43.3%増)、日本が446件(22.2%増)と続いた。

日本からの投資では、九州電力傘下のキューデン・インターナショナル、東京ガスが出資する北部タイビン省の液化天然ガス(LNG)火力発電所案件(19億9,000万ドル、12月認可)が最大で、日本の新規投資認可額の7割近くを占めた。同案件は、全世界・全業種の案件の中でも最大だった。

出資・株式取得は、件数が3,451件(前年比3.2%減)、認可額が85億4,123万ドル(65.7%増)となった。国・地域別の認可額は、日本が29億4,252万ドル(13.2倍)で最多だった。三井住友銀行が15億ドルを出資したVPバンク(Vietnam Prosperity商業銀行)の案件を筆頭に大規模な出資やM&Aが増加した。

直接投資の実行額(推計)は231億8,300万ドル(前年比3.5%増)で、過去最高額を更新した。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

ビジネス短信 25ef6140dc8f9b8c