インド決済システムUPI、グーグルペイとの連携で国外利用拡大へ

(インド)

調査部アジア大洋州課

2024年01月25日

米国IT大手アルファベット傘下のグーグル・インディア・デジタル・サービスと、インド決済公社(NPCI)の海外事業を手掛けるNPCIインターナショナル・ペイメンツ(NPCIインターナショナル)は1月17日、インドの電子決済システムUPI(統合決済インターフェース)の国外での利用を拡大させるための覚書を締結したと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

覚書では、(1)インド国外への旅行者にUPIの利用を広げ、海外での決済手続きの利便性を図ること、(2)他国でUPIのようなデジタル決済システムを立ち上げ、同国内でシームレスな送金取引モデルを提供すること、(3)UPIのインフラを活用し、国を超えた送金手続きを容易にすること、といった目的が示された。

NPCIインターナショナルは、UPIがグローバルに普及することで、利用者がデジタル決済において現金の外貨やクレジットカード、外貨決済用のフォレックスカードに依存する必要がなくなるほか、グーグルペイを含むUPI対応の決済アプリを利用する選択肢が増えるとしている。また覚書の締結により、従来の海外送金チャンネルへの依存から脱却し、国外からの送金プロセスの大規模な簡素化を実現、ひいては世界におけるインドのデジタル決済における優位性を確立したい考えだ。

UPIは2016年8月から運用が開始された電子決済プラットフォームで、複数の銀行口座をアプリ上で一元的に管理したり、スマートフォンを通じてリアルタイムで銀行口座間の送金ができたりするシステムだ。そのほか、QRコード決済や定期自動送金などにも対応し、現在では海外からの渡航者が一部機能を利用できるほか、UPIを利用するインド国民はアラブ首長国連邦(UAE)やシンガポール、ネパールなど一部の国・地域から限定的ではあるが利用が可能となっている。

NPCIの統計によれば、月間取引件数は2023年1月の80億件から同年12月には120億件にまで拡大している。今後、海外からの利用を可能にすることで、さらなる利用拡大を狙うとみられる。

(深津佑野)

(インド)

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