会計ソフトのソリマチ、地場SUのフードマップと農業・農協支援のMOUを締結

(ベトナム)

ホーチミン発

2024年01月09日

農業向け会計ソフトを手掛けるソリマチ(注1)のベトナム法人であるソリマチベトナムは20231219日、ベトナムの農家や生産者とエンドユーザー(消費者や小売事業者など)をつなぐEC(電子商取引)プラットフォームの開発・運営や、マーケティング支援を行うベトナムのスタートアップであるフードマップ(FoodMap、注2)および同子会社のディートラック(Dtrack)と、ベトナムにおける事業協力に関する覚書(MOU)を締結した。この3社は、9月のジェトロ主催ピッチイベント(2023年9月27日記事参照)への参加を契機に、協業に向けた協議が進み、今回のMOU締結に至った。

ソリマチベトナムは、農家や生産者向けの生産管理ソフトと、農協向け会計ソフトの2種をベトナムで展開している。これらのサービスは、ベトナム全土63省・市で活用されている。

フードマップは、ホーチミン市に拠点を置くスタートアップで(注3)、ECプラットフォーム「FoodMap」では、ベトナム全土の2,000以上の農家や200以上の農産物ブランドを取り扱っている。また、農家や生産者に対して商品のパッケージデザイン、ストーリー作り、ブランディングなど、生産した農産物の商品価値を高めるマーケティング活動のサービス「Dtrack」を展開している。

今回のMOUでは、ベトナムの農業や農協の支援・発展を目的に、双方の顧客であるベトナムの協同組合、農家、生産者に対し、各社の強みとする製品・サービス(生産管理、会計、流通面の支援など)の提供で協力することに合意した。具体的には、両社の顧客に対して各社のサービスを紹介するほか、さらなる利便性向上を目指したサービス連携の実現に向けて、技術協力も行う。

ソリマチベトナムは「当社が持ち合わせている農業分野における20年以上の経験から得た知見と、フードマップのスタートアップならではの最新技術・エネルギー・トレンドへのアンテナで力を合わせ、ベトナムの農家をサポートしていきたい」とコメントした。フードマップのCEOファム・ゴック・アイン・トゥン氏は「われわれが連携している200以上の農家にソリマチが提供している農業向けの生産管理や会計のソフトを導入することで、より効率的で良品質なサービスの提供が可能になることを期待している。互いの強みを生かし、この協業をもって双方の顧客にさらなる価値を提供していきたい」とコメントした。

写真 ジェトロ立ち会いの下、MOUに署名した3社。左下からディートラック、ソリマチベトナム、フードマップの代表者(ジェトロ撮影)

ジェトロ立ち会いの下、MOUに署名した3社。左下からディートラック、ソリマチベトナム、フードマップの代表者(ジェトロ撮影)

(注1)1972年に新潟県長岡市の会計事務所から始まった会社。農協および中小企業向けの会計ソフトの開発・販売で業務を拡大し、同社の会計ソフト「農業簿記」は、農家向け会計ソフト分野においての日本国内シェアは1位(2022年3月時点)。

(注2)正式な社名はUFO TECHNOLOGY AND TRADING COMPANY LIMITED。本原稿では、一般的にメディアなどでも認知されているFOODMAPという名称で記載する。

(注3)Vulpes Ventures、Beenext、Ascend Vietnam Ventures、Wavemaker PartnersよりプレシリーズAラウンドで、290万ドルの資金調達を実現(ベトナム経営者協会発行「The LEADER」2022年1月10日)。なお、2023年9月時点での資金調達総額は440万ドル。

(ファン・ウィン、三木貴博)

(ベトナム)

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