米GDP成長率、第4四半期は前期比年率3.3%、個人消費が牽引

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月26日

米国商務省が1月25日に発表した2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(速報値)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前期比年率3.3%増となり、市場予想(2.0%増)を大きく上回った。また、アトランタ連銀が推計しているGDPナウに基づく予想(2.4%増)をも上回る高い伸びとなった。

需要項目別に見ると、内需では個人消費支出が前期比年率2.8%増、寄与度1.9ポイントで、前期に続いて成長を主導した。財(前期比年率3.8%増、寄与度0.85ポイント)、サービス(2.4%増、1.06ポイント)ともに高い伸びを示した。それぞれの内訳では、財部門で、前期に引き続きレクリエーショングッズに牽引された耐久財(4.6%増、寄与度0.4ポイント)、衣料品などに牽引された非耐久財(3.4%増、0.5ポイント)と、ホリデーシーズン需要が伸びを牽引した。サービス部門では、フードサービスやレクリエーションサービスなどのホリデーシーズン需要と、ヘルスケアサービスが牽引した。好調だった年末商戦の結果が反映されたかたちだ。

設備投資については、前期比年率1.9%増と前期(同1.4%増)から伸びが加速した。内訳を見ると、内容はまちまちだ。機器については、情報関連機器が高い伸び(17.4%増)を示す一方で、輸送用機器は前期に続いてマイナス(23.2%減)となり、全体では1.0%増だった。知的財産については、ソフトウエア投資が高い伸び(6.4%増)を示す一方で、研究開発費はマイナス(1.2%減)となり、全体では2.1%増だった。構築物についても、2023年前半の大幅な伸びからは減速しているものの、製造業(17.2%増)は引き続き高い伸びを維持する一方、商業・ヘルスケアはマイナス(6.1%減)、全体では3.2%増だった。製造業の伸びについては、バイデン政権のインフレ削減法に伴う投資の押し上げ効果が引き続き出ているものと考えられる。

住宅投資は戸建てを中心に伸びを示し、前期比1.1%増と2期連続のプラスとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めの早期緩和期待を受けて、住宅ローン金利は10月をピークに低下し始めており、これを好感した住宅需要の増加に伴って、住宅着工が進んだかたちだ。

外需では、輸出が前期比6.3%増、輸入は前期比1.9%増とともにプラスとなり、輸出の寄与が輸入を上回った結果、純輸出の寄与度は0.4ポイントのプラス寄与だった。

食品・エネルギーを除く個人消費支出デフレーターは前期比2.0%上昇で、前期と同様の伸び率だった。

また、2023年通年で見ると、実質GDP成長率は2.5%と、潜在成長率の1.8%を大きく上回る高い伸びとなった。2023年の高成長を消費(2.2%増、寄与度1.5ポイント)、設備投資(4.4%増、0.6ポイント)、政府支出(4.0%増、寄与度0.7ポイント)の3項目が中心となって支えたかたちだ。消費については、ストック(新型コロナウイルス禍で蓄積された余剰貯蓄の効果や株高などに伴う資産価値の上昇など)、フロー(賃金上昇率が高く保たれたことや、インフレ率が低下したことなど)両面で、家計が比較的良好に保たれたことや、設備投資については低金利下での社債発行などによって手元流動性が確保され、金利高の影響を受けにくかったこと、バイデン政権の政策効果が顕在化し始めたことなどが強さを支えた要因と考えられる。2024年は2023年の強い成長を支えた要因の多くが剥落すると考えられており、景気後退にまでは陥らない程度に緩やかに経済が減速するというのがメインシナリオとなっている。

(加藤翔一)

(米国)

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