EV税額控除対象車両、2024年以降は19モデルのみ、米エネルギー省発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月10日

米国エネルギー省は12月30日、インフレ削減法(IRA)に基づいてクリーンビークル(注1)の購入者が受けられる税額控除について、2024年1月1日以降の対象車両19モデルを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照)。このうち10モデルは最大の7,500ドル、残り9モデルは半額の3,750ドルの税額控除の対象となる。2023年末時点の対象車両だった43モデルから大幅に減少した(注2)。

今回発表した19モデルは、2022年8月17日に発効した「北米での最終組み立て要件」と、2023年1月1日に発効した「車両の希望小売価格の上限」「購入者の所得上限」の要件を満たした上で、「バッテリーの調達価格要件」の全部またはいずれかを満たした車両となる。「バッテリーの調達価格要件」では、1月1日から、重要鉱物および部品に対する適用割合がそれぞれ10%引き上げたほか(注3)、バッテリー部品に関する「懸念される外国の事業体」要件(2023年12月6日記事参照)の適用も開始している。

今回の発表では、ゼネラルモーターズ(GM)はピックアップトラック「シルバラード」を含む4モデルが対象外となった。GMはディーラーに対し、対象外となるモデルに税額控除と同額の7,500ドルの割引を提供して対応すると述べたと報じられている(ロイター1月3日)。フォードのスポーツ用多目的車(SUV)「マッハE」、日産の乗用車「リーフ」、フォルクスワーゲン(VW)のSUV「ID.4」など各社主力モデルが対象から外れた。さらに、電気自動車(EV)市場を牽引するテスラも、乗用車「モデル3」の後輪駆動モデルやロングレンジモデル、2023年11月に発売開始したピックアップトラック「サイバートラック」などが対象外となった。なお、今回新たに対象に追加となったモデルはない。

財務省のアシュリー・シャピトル報道官は、1月1日から適用の要件に関し、一部の企業がデータをいまだ提出していないことから、今後対象車両が増える可能性があると指摘する。同氏は「自動車メーカーは、購入者が今後も新たなクリーンビークルの税額控除の対象となるようサプライチェーンを調整し、同盟国と提携して米国に雇用と投資を取り戻している」と述べた(ブルームバーグ1月1日)。また、VWも「1月1日以降の自動車に対する連邦政府のEV税額控除の適格性を確認中」と述べており、「ID.4への適用は楽観的」との見方を示している(ロイター1月2日)。

(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(注2)12月30日に発表した2023年4月18日から同年12月31日までにサービスを開始した、あるいは開始する車両。

(注3)バッテリーに含まれる重要鉱物のうち40%(調達価格ベース)が米国か自由貿易協定(FTA)締結国で抽出もしくは処理され、または北米でリサイクルされる必要がある。この割合は2024年以降10%ずつ段階的に増加し、2027年には80%になる。バッテリー部品に関しても、2023年から50%が北米で製造または組み立てられる必要がある。この割合は段階的に引き上げた後、2029年以降は100%となる。

(大原典子)

(米国)

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