インド政府、ヒンドゥー教寺院の再建に合わせて1月22日を半休日に

(インド)

ニューデリー発

2024年01月19日

インド中央政府は1月18日、北部ウッタル・プラデシュ州アヨーディヤで長い歴史を持つとされるヒンドゥー教のラム寺院の再建日に合わせ、中央政府の省庁や全国の関連機関を1月22日始業時間から午後2時30分まで閉鎖すると発表した。政府関係者も寺院再建の祝祭に参加できるようにするため、と説明されている。

アヨーディヤはヒンドゥー教の主要な神の1人であるラマの生誕地とされ、宗教上の重要な地として位置づけられている。他方、16世紀以降、ムガール帝国がイスラム教のバブリ・モスク(イスラム教礼拝所)を建立していた地でもあり、従来から宗教上の論争を呼んでいた。1992年にヒンドゥー教徒が同モスクを破壊したことをきっかけに、両宗教信者間の対立が激化し、少なくとも2,000人以上が犠牲になったとされる(「タイムズ・オブ・インディア」紙2024年1月17日)。

2003年に、インド考古学研究所(ASI)が同地にはモスクの建立前にヒンドゥー教寺院があった痕跡が確認できたと発表。ヒンドゥー教寺院とモスクのどちらをアヨーディヤに再建すべきかとの法廷論争において、最高裁判所は2019年、ASIの調査結果を根拠として、ヒンドゥー教寺院の建立を認める判断を下した。

他方、野党などからは、政権与党のインド人民党(BJP)が今回のラム寺院の再建を政治的に利用しているとの批判も出ている(「ミント」紙2024年1月16日)。ナレンドラ・モディ首相は1月22日のラム寺院建立式典に参加の予定だが、2024年4~5月に行われる予定の総選挙に向けたパフォーマンスの側面もあるとの見方もある。

(広木拓)

(インド)

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