ジェトロ、香港税関向け真贋判定セミナーを開催

(香港、日本)

香港発

2023年12月06日

ジェトロは11月24日、香港税関および国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)との共催で、香港税関職員を対象とした知的財産権保護セミナーを開催した。セミナーには日本企業5社が講師として登壇した。

写真2枚 ともに知財保護セミナーの様子(香港税関提供)

知財保護セミナーの様子(香港税関提供)

セミナー冒頭では、香港税関の林妙珠(ラム・ミウチュ)著作権・商標調査科指揮官が主催者としてあいさつし、「香港税関は、覚書(MOU)の締結、共同プロモーション活動の企画、研修、情報交換などを通じて、著作権者や商標権者と緊密な連携を保ち、さまざまな侵害行為に対処することに尽力している」と述べた。林妙珠指揮官は、香港税関が世界税関機構(WCO)の次期(2024年から2026年まで)WCO副議長に指名されたことについて、「地域の発展を促進し、地域の業務を調整するという重要な役割を担い、税関と業界との結びつきを強化するための努力を続ける」との決意を明らかにした。

登壇企業については、香港税関の要望を踏まえ、スポーツ用品や衣類、自動車部品、精密機器などを扱うメーカー5社の協力を得た。各社からは、自社製品やライセンス商品の模倣被害事例や真贋(しんがん)判定時に注意すべきポイントなどが説明された。質疑応答では、税関職員から多くの質問が投げかけられ、活発な交流が行われた。

香港税関からは、香港における知財保護の取り組みや法規制の根拠、知財権の事前登録手続き(注2)などについての説明があった。「有資格鑑定人」(注3)が真贋判定する際の重要事項として、「合理的な疑いもなく本物と侵害品を区別できる」ことを挙げ、「例えば、本物は色が薄い、印刷が明確、偽物は品質が悪い、素材が粗い、重量が軽いなど、客観性に欠ける説明の場合、裁判所が根拠不十分と判断するおそれがある」と注意喚起した。

セミナー会場には、日本企業から提示されたサンプル品(真正品および模倣品)も展示され、税関職員が直接確認する姿も見られた。

(注1)IIPPFは、海外における模倣品・海賊版などの知的財産権侵害問題の解決を目指す企業・団体によって2002年4月に設立され、90団体・203企業が参加している(2022年12月時点)。海外での模倣品対策に対応すべく、各国・地域政府機関などとの真贋判定セミナーを複数実施している。

(注2)登録制度については、ジェトロ「香港における税関登録関連調査報告書PDFファイル(975KB)」(2017年3月)を参照。

(注3)「有資格鑑定人」の登録が、香港における知財権の事前登録手続きに際して必須だ。同鑑定人の任命要件については、権利者である企業の歴史、製品ラインアップおよび生産設備などについて精通していることや、税関により押収された商品の真偽を判別できる能力があることなどの必須条件が定められている。詳細は、注2に記載の報告書4ページを参照。

(島田英昭)

(香港、日本)

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