国務院関税税則委員会、ECFAによる台湾への関税引き下げ措置を一部停止

(中国、台湾)

調査部中国北アジア課

2023年12月25日

中国国務院関税税則委員会は12月21日、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)に基づいて台湾に対して実施している関税引き下げ措置を一部の品目につき停止すると発表した。同措置は2024年1月1日から実施される。同委員会は措置の実施理由について、台湾が一方的に中国大陸の産品に対して差別的な輸入禁止や制限などを行っており、ECFAの規定に違反しているためと説明した(2023年12月19日記事参照)。

関税引き下げ停止措置の対象となる品目は、パラ-キシレン、プロペン(プロピレン)、塩化ビニル(クロロエチレン)などの12品目の石油化学品だ。これらの品目のリストは同委員会のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

中国商務部は12月15日、中国に対する台湾の貿易制限措置について貿易障壁調査を行った結果、台湾が実施している措置は「貿易障壁」と認定していた(注1)。中国の対外貿易障壁調査規則第33条では、貿易障壁調査の対象となる措置や慣行が同規則第3条に定義する「貿易障壁」に該当すると認定された場合、商務部は状況に応じて2者協議の実施やマルチの紛争解決メカニズムの開始、その他適当な措置を取ることができるとしていた(注2)。商務部の束珏婷報道官は12月12日の定例記者会見で、商務部が台湾に対して実施した貿易障壁調査の結果、台湾がECFAの規定に違反していると判断したことに触れた上で、「(台湾与党の)民進党当局が断続的に、さまざまな口実や手段を用い、両岸の交流と協力を妨害している」とコメントした。

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に中台間の貿易データを集計したところ、台湾からの対象品目の中国の年間輸入額(2022年)は25億1,085万ドルだった。また、これらの対象品目が台湾からの中国の年間輸入総額に占める割合は1.09%だった(添付資料表参照)。

対象の12品目は、ECFAに基づき、いずれもゼロ関税が適用されているが、措置の実施後は、品目ごとに規定された関税率(1%~10%)が付加される。

(注1)商務部は4月12日、中国の業界団体の申請を受け、「対外貿易法」と「対外貿易障壁調査規則」の規定に基づき、中国に対する台湾の貿易制限措置について貿易障壁調査を行うと発表し、10月9日には、調査期限を2024年1月12日まで延長すると発表していた。

(注2)詳細は、ジェトロの調査レポート「中国の『貿易障壁調査』についてPDFファイル(449KB)」を参照。

(藤原智生)

(中国、台湾)

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